【初中級文法③】再帰動詞の使い方

フランス語には、「自分自身に作用が返ってくる」動作を表す動詞があります。それが再帰動詞です。
日常会話の中で頻繁に使われ、特に「起きる」「洗う」「紹介する」といった動作でよく登場します。
このレッスンでは、再帰動詞の仕組みと使い方を基本から学び、自然なフランス語表現に一歩近づきましょう。
再帰動詞とは?
再帰動詞の定義
再帰動詞とは、「主語と目的語が同一人物である動詞」を指します。
つまり、動作の対象が他人ではなく、自分自身に向かっている場合に使われる動詞です。
英語で言えば wash myself や introduce yourself のように、「myself」「yourself」などを使う場合に近い感覚です。
- Je me lève.(私は自分自身を起こす → 私は起きる)
- Tu te laves.(君は自分自身を洗う → 君は体を洗う)
原形の見分け方:再帰代名詞 se がつく
フランス語では、再帰動詞の原形は動詞の前に se(次の動詞が母音で始まる場合は s’)がつきます。
再帰動詞 | 意味 |
---|---|
se lever | 起きる、自分を起こす |
se laver | 体を洗う、自分を洗う |
s’appeler | ~と名乗る、自分を~と呼ぶ |
se coucher | 寝る、自分を寝かせる |
主語に応じた再帰代名詞
再帰代名詞の se の部分は、文中では主語に合わせて変化します。
主語 | 再帰代名詞 | 例文 |
---|---|---|
je | me | je me lève(私は起きる) |
tu | te | tu te couches(君は寝る) |
il / elle / on | se | il se lave(彼は体を洗う) |
nous | nous | nous nous appelons(私たちは〜といいます) |
vous | vous | vous vous habillez(あなたは服を着る) |
ils / elles | se | elles se préparent(彼女たちは準備する) |
例文と解説
Je me lève à sept heures.|私は7時に起きる
動詞 se lever(起きる) の再帰代名詞 me は、主語 je に合わせた形。me は「私自身に対して」という意味を持ち、動詞 lève は1人称単数形。この文は「私が自分を起こす」→「起きる」という意味になります。
Tu te laves les mains.|君は手を洗う
主語 tu に対して再帰代名詞 te を用います。再帰動詞 se laver は「体や体の一部を自分で洗う」ときによく使います。目的語の les mains(手)は身体の一部なので、所有形(tes mains)ではなく定冠詞(les) を使うのがフランス語の特徴。
Il se couche tard.|彼は遅く寝る。
主語 il に合わせて、再帰代名詞は se、動詞 coucher(寝かせる)の再帰形 se coucher は「自分を寝かせる」=「寝る」という意味になります。tard(遅く)は副詞で、行動の時間を示します。
Nous nous appelons Martin et Claire.|私たちはマルタンとクレールといいます。
s’appeler(〜という名前である)は自己紹介の定番表現。主語 nous に対して再帰代名詞 nous を用い、動詞 appeler は nous に合わせて appelons と活用。
Elles se préparent pour la fête.|彼女たちはパーティーの準備をしている。
主語 elles に対して再帰代名詞 se を使用。動詞 préparer(準備する)が再帰形になることで「自分たちの準備をする」という意味になる。pour la fête(パーティーのために)が文全体の目的を補足しており、日常的な動作の中でもよく使われる表現です。
文法のポイント解説
再帰代名詞+動詞活用=ペアで覚える
再帰動詞のポイントは、再帰代名詞と動詞の活用が常にセットになっていることです。
例えば、se laver を使いたいときは、次のようなペアで覚えると効率的です。
- je me lave(ジュ ム ラーヴ)
- tu te laves(チュ トゥ ラーヴ)
- il se lave(イル ス ラーヴ)
- nous nous lavons(ヌ ヌ ラヴォン)
- vous vous lavez(ヴ ヴ ラヴェ)
- ils se lavent(イル ス ラーヴ)※-ent は発音しない
自分の行動・身の回りの動作でよく使われる
再帰動詞は、「自分の行動」や「日常のルーティン」に関する表現で非常によく使われます。
- se lever(起きる)
- se laver(体を洗う)
- s’habiller(服を着る)
- se coucher(寝る)
- se réveiller(目覚める)
- se brosser les dents(歯を磨く)
これらを使えば、「朝の準備」や「1日のスケジュール」を自然なフランス語で表現できます。
否定文の語順に注意
再帰動詞の否定文は、語順が「ne + 再帰代名詞 + 動詞 + pas」となります。
つまり、「ne(…しない)」と「pas」で再帰代名詞+動詞のセットを挟む形になります。
- Je ne me lève pas.(私は起きない)→ 「me lève」の部分を ne と pas で挟む
再帰動詞では 再帰代名詞を文頭に移動したり、pas の後ろに置いたりはできません。
疑問文の語順は2通り
Est-ce que を使う丁寧な疑問文
再帰代名詞の疑問文でもっとも使いやすいのが est-ce que を使った形式です。
- Est-ce que tu te lèves tôt ?(君は早起きしますか?)
この形式では語順は肯定文と同じなので、初心者でも使いやすい疑問文です。
倒置による疑問文(文語・書き言葉)
倒置疑問では、再帰代名詞が動詞の前に置かれ、「再帰代名詞+動詞-主語代名詞」という構造になります。
- Te lèves-tu tôt ?(君は早起きしますか?)
→再帰代名詞(Te)が先頭になり、動詞と主語(tu)は場所が入れ替わる
この形はやや形式ばった印象になるため、口語では Est-ce que ~ ? を使う方が一般的です。
まとめ
- 再帰動詞は、主語が自分自身に作用を及ぼすときに使う。
- 文では「再帰代名詞(me, te, se など)+活用した動詞」という形で使われる。
- 朝の支度や日常の行動、自己紹介などに頻出。
- 否定文や疑問文の形でも、再帰代名詞と動詞の語順を崩さないよう注意。