【フランス語文法#24】再帰動詞の使い方

フランス語には、「自分自身に作用が返ってくる」動作を表す動詞があります。それが再帰動詞です。
日常会話の中で頻繁に使われ、特に「起きる」「洗う」「紹介する」といった動作で登場します。
今回は、フランス語の再帰動詞の仕組みと使い方を解説します。
1. 再帰動詞とは?
1-1. 再帰動詞の基本
再帰動詞とは、「主語と目的語が同一人物である動詞」を指します。
つまり、動作の対象が他人ではなく、自分自身に向かう場合に使われる動詞です。
英語で言えば “wash myself” や “introduce yourself” のような、「myself」「yourself」に近い感覚です。
- Je me lève.(私は自分自身を起こす → 私は起きる)
- Tu te laves.(君は自分自身を洗う → 君は体を洗う)
1-2. 再帰動詞の見分け方:再帰代名詞 se がつく
フランス語では、再帰動詞の原形は動詞の前に「se」(次の動詞が母音で始まる場合は s’)がつきます。
再帰動詞 | 意味 |
---|---|
se lever | 起きる、自分を起こす |
se laver | 体を洗う、自分を洗う |
s’appeler | ~と名乗る、自分を~と呼ぶ |
se coucher | 寝る、自分を寝かせる |
1-3. 主語に応じた再帰代名詞
再帰代名詞の se の部分は、文中では主語に合わせて変化します。
主語 | 再帰代名詞 | 例文 |
---|---|---|
je | me | je me lève(私は起きる) |
tu | te | tu te couches(君は寝る) |
il / elle / on | se | il se lave(彼は体を洗う) |
nous | nous | nous nous appelons(私たちは〜といいます) |
vous | vous | vous vous habillez(あなたは服を着る) |
ils / elles | se | elles se préparent(彼女たちは準備する) |
2. 再帰代名詞+動詞活用のペアで覚える
再帰動詞のポイントは、再帰代名詞と動詞の活用が常にセットになっていることです。
例えば、se laver を使いたいときは、次のようなペアで覚えると効率的です。
- je me lave(ジュ ム ラーヴ)
- tu te laves(チュ トゥ ラーヴ)
- il se lave(イル ス ラーヴ)
- nous nous lavons(ヌ ヌ ラヴォン)
- vous vous lavez(ヴ ヴ ラヴェ)
- ils se lavent(イル ス ラーヴ)※-ent は発音しない
3. 再帰動詞を使う場面
再帰動詞は、自分の行動・身の回りの動作に関する表現で非常によく使われます。
- se lever(起きる)
- se laver(体を洗う)
- s’habiller(服を着る)
- se coucher(寝る)
- se réveiller(目覚める)
- se brosser les dents(歯を磨く)
これらを使えば、朝の準備や1日のスケジュールについて、自然なフランス語で表現できます。
4. 自己紹介で必須の再帰動詞:s’appeler
s’appeler(〜という名前である)は、自己紹介で必ず使う表現です。
注意点として appeler は、単数形全てと三人称複数の活用の際に、語幹に綴り変化が起きます。
s’appeler の語幹は「appel-」ですが、「私(je)」「君(tu)」「彼・彼女・彼ら(il/elle/on, ils/elles)」のときには 「l」を重ねて「appell-」 になります。
- Je m’appelle Sophie.(私はソフィーといいます)
→「m’appelle」と「l」 が2つになります。 - nous nous appelons〜.(私たちは〜と言います)
→主語がnous / vousの時は、語幹は通常通り「appel-」です。
5. 否定文の語順に注意
再帰動詞の否定文は、語順が「ne + 再帰代名詞 + 動詞 + pas」となります。
つまり、「ne(…しない)」と「pas」で再帰代名詞+動詞のセットを挟む形になります。
- Je ne me lève pas.(私は起きない)
→ 「me lève」の部分を ne と pas で挟む
再帰動詞では再帰代名詞を文頭に移動したり、pas の後ろに置いたりはできません。
6. 疑問文の語順は2通り
6-1. Est-ce que を使う疑問文
再帰代名詞の疑問文でもっとも使いやすいのが est-ce que を使った形式です。
- Est-ce que tu te lèves tôt ?(君は早起きしますか?)
この形式では語順は肯定文と同じなので、初心者でも使いやすい疑問文です。
6-2. 倒置による疑問文(文語・書き言葉)
倒置疑問では、再帰代名詞が動詞の前に置かれ、「再帰代名詞+動詞-主語代名詞」という構造になります。
- Te lèves-tu tôt ?(君は早起きしますか?)
→再帰代名詞 Te が先頭になり、動詞と主語(tu)は場所が入れ替わる
この形はやや形式ばった印象になるため、口語では “Est-ce que ~ ?”の構文を使う方が一般的です。
7. まとめ
- 再帰動詞は、主語が自分自身に作用を及ぼすときに使う。
- 再帰動詞の文は「再帰代名詞 + 動詞の活用形」という形で使われる。
- 朝の支度や日常の行動、自己紹介などに頻出。
- 否定文や疑問文の形でも、再帰代名詞と動詞の語順を崩さないよう注意。