文法

#54 フランス語の形式主語 il と非人称構文|意味と使い方を解説

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Izumi
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フランス語の文章には、「誰が主語なのか」をはっきりさせずに、「雨が降っている」「時間がかかる」「〜する必要がある」といった現象や判断を表す表現があります。

特定の主語が存在しないこの表現は「非人称構文」と呼ばれ、主語の位置に il(三人称単数)が形式的に置かれるのが特徴です。

ここでは、フランス語の非人称構文の特徴やよく使われる表現を解説していきます。

1. 非人称構文とは?

フランス語では、主語に「人」や「物」が明確に存在しない文でも、文法上「主語」は必ず必要とされます。このときに登場するのが形式主語 il です。

この il は具体的に「彼」や「それ」を指すわけではなく、あくまで文法上の主語の位置を埋めるための代用です。

そして、形式主語の il を用いた構文が、非人称構文です。英語で言えば “It rains.” や “It is important.” などの it に近い役割です。

フランス語では、非人称構文を使うことで「天気」「時間」「必要性」「存在」などを表現できます。

2. 天候を表す非人称構文

天気の表現では、主語に il を置いて、現象そのものを述べます。このときの動詞は天気表現専用の非人称動詞であり、常に三人称単数形で使われます。

例文
  • Il pleut.(雨が降っている)
  • Il neige.(雪が降っている)
  • Il fait chaud / froid / beau.(暑い/寒い/天気がいい)

主語 il は、具体的に「誰が雨を降らせているのか」というような意味ではなく、単に文の形を整えるための形式主語です。

また、“Il fait chaud”(暑い)のように、天気に関連する表現では動詞 faire がよく使われます。

3. 時刻や日付を表す構文

時刻や日付を述べるときも、フランス語では常に il を主語に使います。そして、この構文では常に être(〜である)が使われます。

例文
  • Il est huit heures.(8時です)
  • Il est midi.(正午です)
  • Il est tard.(もう遅い)
  • Il est lundi.(今日は月曜日です)

これらの文でも、il は時間や曜日そのものを指しているわけではなく、「8時である」「月曜日である」という状態を表現するための文法的な主語となります。

4. 評価・判断・義務を表す構文

何かについて「大切である」「難しい」「必要がある」などと述べるときにも、フランス語では非人称構文が使われます。構文には、以下の2つのパターンがあります。

4-1. Il est + 形容詞 + de / que 〜

例文
  • Il est important de bien dormir.
    (よく眠ることは大切だ)
  • Il est difficile de comprendre cette règle.
    (このルールを理解するのは難しい)
  • Il est nécessaire que tu viennes.
    (君が来る必要がある)

この構文では、「〜することは〜である」という評価や判断を述べるときに使います。不定詞(de + 動詞)や、接続法を導く que節を使って、主語にあたる行為や状況を補います。

4-2. Il faut + 不定詞 / que節

例文
  • Il faut étudier.
    (勉強しなければならない)
  • Il faut partir maintenant.
    (今すぐ出発する必要がある)
  • Il faut que tu fasses attention.
    (君は注意しなければならない)

この構文で使われる動詞 falloir は、「~する必要がある」という義務や必要性を意味します。

falloir は非人称動詞でのみ使われる特殊な動詞であり、常に “Il faut” の形で登場します。

5. 存在を示す構文:Il y a(〜がある)

Il y a は、場所や時間の中に何かが「存在する」ことを表す構文です。これも形式主語 il を使った非人称構文の一種です。

例文
  • Il y a un problème.
    (問題がある)
  • Il y a des étudiants dans la salle.
    (教室に学生がいる)
  • Il y a beaucoup de monde ici.
    (ここにはたくさんの人がいる)

この構文は、英語の “There is / There are” にあたります。また、語順は常に「Il + y + a + 名詞」という形で固定されています。

6. まとめ

今回の文法ポイント
  • 非人称構文では、それ自体に意味を持たない形式主語 il が文頭に置かれ、天候・時間・評価・存在などを表す。
  • 天気:Il pleut / Il neige / Il fait froid など
  • 時刻・日付:Il est huit heures / Il est lundi など
  • 判断・評価:Il est important de… / Il faut… など
  • 存在表現:Il y a …(〜がある/いる)

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