初中級文法

【初中級文法⑪】中性代名詞 en の使い方

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Izumi

フランス語の中性代名詞 en は、「〜のうちの一部」「〜について」「〜から」などの意味で使われる便利な代名詞です。

数量や部分、de で導かれる語句の代用として、会話でも文章でもよく使われます。

このレッスンでは、en の意味、使い方、そして使う際の注意点を例文とともに学んでいきます。

中性代名詞 en とは?

代名詞 en は、フランス語で前置詞 de を伴う名詞句を繰り返すことなく代用するための語です。

主に次の3つの用法があります。

「de + 名詞(物)」の代用:「それを」「それについて」

動詞の後に「de + 物」が続くとき、それを en で置き換えることができます。

  • Tu parles de ton travail ? → Oui, j’en parle.
    (君は自分の仕事について話してるの? → はい、話してるよ)

「数量」や「一部」を表す

あるものの数量や一部を取り出して表すときに en を使います。

つまり、名詞と一緒に数詞や量詞がある場合、en を使って名詞を省略します。

  • Tu veux du pain ? → Oui, j’en veux.
    (パンが欲しい? → はい、欲しい)→ du pain(不特定の量)を en に置き換える。
  • J’ai trois stylos. → J’en ai trois.
    (私はペンを3本持っている → それを3本持っている)

「de + 場所・出所」を代用:「〜から」

de で始まる場所や出所の表現を指すときにも en を使うことがあります。

  • Ils viennent de la bibliothèque. → Ils en viennent.
    (彼らは図書館から来た → そこから来た)

例文と解説

Je parle de ce problème. → J’en parle.(私はこの問題について話している。→ それについて話している)

de ce problème を en に置き換えます。問題が「物」なので en で代用可能。対象が人の場合は lui / leur を使います。

Tu veux du chocolat ? → Oui, j’en veux.(チョコレートが欲しい?→ はい、欲しい)

du chocolat(部分的な量)を en で代用。「それを(少し)欲しい」という意味となります。

Elle revient de l’école. → Elle en revient.(彼女は学校から帰ってくる。→ そこから帰ってくる)

de l’école(場所)を en に代用し、「そこから」と表現します。

Tu parles de ta famille ? → Oui, j’en parle.(君は家族の話をしているの?→ はい、話しています)

de ta famille を「de + 名詞」として扱い、en で代用します。

文法のポイント解説

en は「de + 名詞(物)」の繰り返しを避けるために使う

フランス語では、ある名詞をすでに文の中で使ったあとに、同じ語を再び繰り返すことを避ける傾向があります。

とくに前置詞 de を伴う語句は、繰り返す代わりに en を使うことで、すっきりとした自然な文になります。

  • Tu parles de ce livre ?(君はその本について話しているの?)
  • Oui, j’en parle.(はい、それについて話しています)
    →この en は de ce livre(その本について)を指しています。

すでに前の文で何について話しているのかがわかっているため、わざわざ同じ語を繰り返す必要はなく、enで代用するのが自然です。

この使い方は、英語の 「I’m talking about it.」 にあたりますが、フランス語では about it の部分が en に相当するというイメージです。

en は「数量」や「一部」を表すときに使う

フランス語では、数量や部分を表すときに冠詞 du / de la / des や数詞、量を示す語句(beaucoup, un peu など)と一緒に名詞を使います。

このとき、同じ名詞を繰り返さずに数量だけ残したいときに、en が使われます。

  • Tu veux du pain ?(パンが欲しい?)
  • Oui, j’en veux.(はい、それが欲しい)
    → ここで du pain(パン)を en に置き換え、「それが欲しい」という意味になります。

さらに数量を明示したい場合は、en のあとに数や量詞を残します。

  • Tu as des enfants ?(君には子どもがいる?)
  • Oui, j’en ai trois.(はい、3人いる)
    → en は子どもたち(des enfants)を指し、3人という情報だけを残して伝えています。

en は「de + 場所・出所」にも使える

もう一つの使い方として、前置詞 de で導かれる「出所」や「起点となる場所」を代用するケースがあります。

  • Ils viennent de la bibliothèque.(彼らは図書館から来た)
  • Ils en viennent.(彼らはそこから来た)
    → この場合の en は de la bibliothèque を指しており、「どこから来たのか」という出発点を簡潔に表現しています。
注意点

注意点として、すべての場所表現に使えるわけではなく、「de」ではなく「à」や「dans」などが使われる場所は中性代名詞 y を使う必要があります。

  • Je viens de l’école.J’en viens.(出所:en
  • Je vais à l’école.J’y vais.(目的地:y

このように、「行き先=y」「出所=en」と覚えておくと整理しやすいです。

対象が「人」の場合は en を使わない

中性代名詞 en は、基本的に「物・場所・数量」など人間以外のものに使われます。

一方で、de の後に「人」が来る場合は、そのままの形で文を保つか、間接目的代名詞(lui / leur)などを使う必要があります。

  • Tu parles de Marie ?(君はマリーの話をしているの?)
    → ◯ Oui, je parle d’elle.(はい、彼女について話してます)
    → × J’en parle.【人を en で指すのは文法的に誤り】
中性代名詞のポイント

この「人か物か」の判断は、en や y などの中性代名詞を使う上で最も重要なポイントの一つです。

en の語順と注意点

en を使うときの語順は、動詞の種類によって変わりますが、以下が基本です。

  • 単純時制(現在形・半過去など)→ 動詞の直前に置く
    例:J’en veux.(それが欲しい)
  • 複合時制(複合過去など)→ 助動詞の直前に置く
    例:J’en ai mangé.(それを食べた)
  • 否定文 → 「ne + en + 動詞 + pas」の順になる
    例:Je n’en veux pas.(それはいらない)

また、命令形では肯定文と否定文で位置が変わります:

  • 肯定命令:動詞 + en → Mangez-en !(それを食べなさい!)
  • 否定命令:ne + en + 動詞 + pas → N’en mangez pas.(食べないで!)

まとめ

  • en は de + 名詞(物)/数量/場所などを指す代名詞で、「それを」「それについて」「そこから」などの意味を持つ。
  • 数や量を含む表現では、en を使って名詞を省略しながら数字や量詞は残すことができる。
  • 人が対象の場合には en は使えないため注意。
  • 代名詞 en の位置は、通常は動詞の前、複合時制では助動詞の前に置く。
  • en を使いこなすことで、表現がスムーズで自然になる。

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