フランス語の複合過去 avoir / être の使い分け|動詞別の例文まとめ

フランス語の過去表現のひとつ「複合過去」は、助動詞+過去分詞という形で作ります。
このとき使う助動詞には avoir と être の2種類がありますが、どちらを使うかは動詞によって決まっています。
今回は avoir / être の使い分けのルールと、その理由・代表的な動詞を、例文を通して具体的に解説していきます。
1. 複合過去の基本
フランス語で過去の出来事を表すとき、よく使われる時制が複合過去です。
複合過去形は、英語の “I have eaten” のような表現に近く、「今とつながる過去の出来事」や「結果が今に残っている過去の行動」を表します。
複合過去は、「助動詞(être / avoir の現在形)+ 過去分詞」という形で作ります。
このとき使われる助動詞には、avoir と être の2種類があります。
複合過去の助動詞は大半が avoir が使われますが、動作・状態を表す一部の動詞や再帰動詞ではêtreを使います。
2. avoir を使う動詞は「動作」中心
avoir を使う動詞は、主語が何かの動作をする/何かを完了させるという内容を表すときに使います。
- Tu as fini ton travail.(君は仕事を終えた)
→ 「終えた」という完了した動作 → avoir を使用。 - Ils ont regardé un film.(彼らは映画を観た)
→ 観るという行動そのもの → avoir を使用。 - J’ai ouvert la porte.(私はドアを開けた)
→ 「ドアを開けた」という目的語を伴う行動 → avoir を使用。
3. 助動詞 avoir を使う動詞の特徴
avoir を使う動詞について、次のような特徴をもつ動詞が当てはまります。
3-1. 行為や動作を表す動詞
parler(話す)、manger(食べる)、regarder(見る)、finir(終える)など、「行動や行為」を表す一般動詞。
3-2. 目的語を取る他動詞
「〜を…する」といった、目的語を取る他動詞にも avoir が使われます。
- Elle a lu un livre.(彼女は本を読んだ)
→ un livre が目的語
4. être を使う動詞は「主語の変化」がカギ
être を使う動詞は限定的で、主語が「どこかへ行く」「変化する」「状態が変わる」といった、往来発着、存在・状態変化の意味を持つ動詞となります。
- Elle est arrivée à l’heure.(彼女は時間通りに到着した)
→ 主語(彼女)がある場所に到達した= 状態の変化 → être 使用 - Il est mort en 1995.(彼は1995年に亡くなった)
→ 主語(彼)が生から死に変化した = 存在の変化 → être 使用 - Nous sommes montés dans le train.(私たちは電車に乗った)
→ 「乗る」=空間的な移動が起きている → être 使用
助動詞が être の場合、主語が何かしらの「変化」や「移動」を経験していると考えると理解しやすくなります。
5. 助動詞 être を使う動詞の特徴
être を使う動詞には、以下のような特徴があります。
5-1. 移動を表す動詞
aller(行く)、venir(来る)、partir(出発する)、arriver(到着する)など、場所の変化がある動詞が該当します。
5-2. 存在・状態の変化を表す動詞
naître(生まれる)、mourir(死ぬ)、tomber(倒れる)など、存在の始まりや終わり、変化が起きる動詞も être が使われます。
5-3. 再帰動詞(se〜)
再帰動詞とは、se lever(起きる)、se laver(自分を洗う)のように、主語が自分に対して行う動作を表す動詞のことです。こちらも助動詞は être となります。
- Je me suis levé.(私は起きた)
- Elle s’est lavée.(彼女は体を洗った)
6. être を使う場合の「性・数の一致」に注意
être を使う複合過去では、主語の性・数に応じて、過去分詞が語尾変化するというルールがあります。
| 主語 | 例 | 過去分詞の形 |
|---|---|---|
| 男性単数 | Il est allé. | allé(変化なし) |
| 女性単数 | Elle est allée. | allée(-e) |
| 男性複数 | Ils sont allés. | allés(-s) |
| 女性複数 | Elles sont allées. | allées(-es) |
avoir を使う場合、主語の性や数が変わっても変化は必要なく、過去分詞はそのまま使います。
- Elle a mangé une pomme.(彼女はリンゴを食べた)
- Ils ont regardé la télévision.(彼らはテレビを見た)
ただし avoir の例外として、目的語が過去分詞より前に出ると、過去分詞の一致が必要になります。
- La pomme qu’elle a mangée.(彼女が食べたリンゴ)
→過去分詞は先に出てくる女性名詞 la pomme と一致し、mangée(-eを追加)となります。
7. まとめ
- 複合過去は 「助動詞+過去分詞」で構成される。
- avoir を使う動詞が基本だが、移動や状態変化の動詞・再帰動詞は être を使う。
- être を使うときは、過去分詞を主語の性・数に応じて一致させる必要がある。
- avoir を使うときは、基本的に過去分詞は変化しない(一部例外あり)。





