#11 フランス語が公用語の国々|フランス語コラム

フランス語というと、多くの人はまずフランスを思い浮かべるのではないでしょうか。
もちろんフランスはフランス語の中心的な国ですが、実はフランス語はフランスだけで使われている言語ではありません。
現在、フランス語はヨーロッパだけでなく、北アメリカ、アフリカ、カリブ海、太平洋地域など、世界中のさまざまな国や地域で公用語として使われています。また、世界のフランス語の総話者数はおよそ3億〜4億人とも言われており、英語、スペイン語、中国語などと並ぶ国際的な言語の一つです。
この記事では、フランス語が公用語として使われている国々を地域ごとに整理しながら解説していきます。
1. 国際言語としてのフランス語
フランス語は、世界的に見ても非常に影響力の大きい言語です。
現在、30前後の国々でフランス語が公用語の一つになっています。なお、ここでの公用語とは政府、行政、教育、司法などの公的な場面で使用が認められている言語を指します。
さらに、公用語としてだけでなく第二言語として使用している人も多く、特にアフリカでは学校教育、行政、ビジネスの場でフランス語が広く使われています。
フランス語がここまで広まった背景には、以下のような歴史的な要因があります。
- フランス王国・フランス帝国の拡大
- 植民地時代の影響
- 外交言語としての地位
- 教育制度による普及
- 国際機関での使用
特に17世紀から20世紀にかけて、フランス語は外交や知識人の共通語として高い地位を持っていました。
そのため、現在でもフランス語は多くの国で重要な公用語となっています。
2. ヨーロッパ地域
フランス語が公用語である国として、まずヨーロッパが挙げられます。
フランス
当然ながら、フランス語の中心となる国はフランスです。
現代標準フランス語の基盤は、主にパリ周辺のフランス語から発展しました。教育、行政、メディア、文化のすべてにおいてフランス語が中心です。
ただし、フランス国内にはブルトン語、オック語、アルザス語、コルシカ語などの地域言語も多く存在します。
ベルギー
ベルギーでは、フランス語が主要な公用語の一つです。ベルギーには主に次の3つの公用語があります。
- フランス語
- オランダ語
- ドイツ語
特に南部のワロン地域ではフランス語が中心です。また、首都ブリュッセルでもフランス語が広く使われています。
スイス
スイスも多言語国家として知られており、以下の4つが公用語になります。
- ドイツ語
- フランス語
- イタリア語
- ロマンシュ語
フランス語は主に西部のロマンド地方で話されています。
スイスフランス語には、数詞や語彙などに独自の特徴があります。たとえば、フランス本国で quatre-vingts(80)と言うところを、スイスでは huitante と言う地域があります。
ルクセンブルク
ルクセンブルクでは、フランス語が重要な公用語の一つです。この国では、主に次の3言語が使われています。
- ルクセンブルク語
- ドイツ語
- フランス語
法律や行政文書では、フランス語が特に重要な役割を持っています。
3. カナダ
カナダでは英語とフランス語の2つが公用語に定められています。そのため、連邦政府の文書、公共サービス、議会などでは基本的に両言語が使用されます。
カナダにフランス語が広まった背景には、17世紀以降のフランス植民の歴史があります。
当時、フランスは北アメリカに「ヌーヴェル・フランス(New France)」と呼ばれる植民地を築きました。その影響から、カナダではフランス語話者の大規模なコミュニティが存在しています。
特にフランス語が強く根付いているのが、東部のケベック州です。ケベック州では、フランス語が社会の中心的な言語となっており、行政、教育、メディア、ビジネス、日常生活の多くがフランス語で行われています。
モントリオールやケベック・シティなどの都市では、フランス語が街の主要言語として機能しています。
4. カリブ海地域(ハイチ等)
カリブ海地域のハイチでは、次の2つが公用語となっています。
- フランス語
- ハイチ・クレオール語
ハイチの場合、フランス語は行政・教育の場面で使われる言語であり、ハイチ・クレオール語は人々の日常生活に深く根ざした言語です。
また、カリブ海地域には、フランスの海外県・海外地域も存在します。たとえば、グアドループ、マルティニークなどでは、行政や教育においてフランス語が使われています。
これらの地域では、標準フランス語とともに、クレオール語も地域文化の重要な一部となっています。
5. アフリカ
実は、現代においてフランス語話者が最も多く増えている地域はアフリカです。
フランス語が公用語のアフリカ諸国には、次のような国があります。
西アフリカ
- セネガル
- コートジボワール
- マリ
- ニジェール
- ブルキナファソ
- ベナン
- トーゴ
- ギニア
中部アフリカ
- カメルーン
- チャド
- ガボン
- コンゴ共和国
- コンゴ民主共和国
- 中央アフリカ共和国
その他
- マダガスカル
- ジブチ
- コモロ
- セーシェル
- ルワンダ(英語も重要)
- ブルンジ
多くの場合、フランス語は民族間の共通語(リングワ・フランカ)として使われています。
アフリカでは一国の中に数十、あるいは数百の言語が存在することも珍しくありません。そのため、中立的な共通語としてフランス語が機能しています。
6. 太平洋地域
フランス語は太平洋地域でも使われています。例として、次の地域があります。
- ニューカレドニア
- フランス領ポリネシア
- ウォリス・フツナ
これらはフランス海外領土であり、行政や教育でフランス語が使われています。
地理的にはフランスから遠く離れていますが、言語的にはフランス語圏に属しています。この点からも、フランス語圏の広がりの大きさがわかります。
7. フランコフォニーとは何か
フランス語圏を語るうえで重要な概念が、フランコフォニー(Francophonie) です。
フランコフォニーとは、簡単に言えば、フランス語を共有する人々、国々、地域のつながりを指す言葉です。フランス語を母語として話す人だけでなく、第二言語、公用語、教育言語、行政言語としてフランス語を使う人々も含まれます。
その中心的な組織が、国際フランコフォニー機関(Organisation internationale de la Francophonie / OIF) です。OIFにはフランス語を共有する多くの国や地域が参加しており、フランス語の普及、教育支援、文化交流、民主主義や平和の促進などを目的としています。
フランコフォニーという考え方を知ることで、フランス語が世界各地の異なる文化や社会を結びつける国際的な言語であることがわかります。
8. まとめ
フランス語は、フランスだけの言語ではありません。現在、フランス語は世界各地で公用語として使われています。
公用語として使われている主な地域を整理すると、次のようになります。
- ヨーロッパ(フランス、ベルギー、スイス、ルクセンブルク)
- 北アメリカ(カナダ)
- カリブ海(ハイチ等)
- アフリカ(多数の国々)
- 太平洋地域(フランス海外領土)
また、フランス語圏はフランコフォニーという国際的な共同体としてもつながっています。
フランス語が公用語の国々を知ることで、フランス語という言語の本当のスケールが見えてくるはずです。




