初中級文法

【初中級文法⑬】強調構文(C’est ~ que / qui)

image
Izumi

フランス語では、話し手が文中の「ある要素」を際立たせたいときに使う特別な構文があります。それが「C’est ~ que / qui ~」という強調構文です。

この構文を使うと、主語、目的語、時間、場所などを文の中で特に目立たせることができます。

英語の「It is ~ that …」に近い構造ですが、フランス語ではもっと自然で頻繁に使われます。

このレッスンでは、強調構文の仕組み、使い方のパターン、ニュアンスの違いを解説していきます。

強調構文とは?

強調構文とは、文の中の一部分を目立たせたいときに使う構文です。

たとえば「誰が行ったのか」「何をしたのか」「いつ?どこで?」といった情報のうち、特に重要な部分に焦点を当てたいときに使います。

【基本の形】C’est + [強調したい部分] + que / qui + [残りの文]

この構文はもともとの文を分解し、「C’est ~ que / qui ~」という形で組み直すことで、「話しているのは〜なんだ」というように特定の情報を強調できます。

que と qui の違い

接続詞強調される要素文中での役割
qui主語強調される語が主語(=動作をする人・物)である場合
que目的語・時・場所 など主語以外の語を強調したい場合(=目的語、副詞句など)
que
  • qui の後には動詞が直接来ます(主語を強調しているため)。
  • que の後には主語+動詞が来ます(目的語などを強調しているため)。

例文と解説

C’est Marie qui parle.(話しているのはマリーだ)

主語「Marie」を強調する構文。通常の文「Marie parle(マリーが話している)」に対して、「誰が話しているのか」を明確に伝えたい場合に使います。qui の後には動詞 parle が直接続きます。

C’est Paul que j’ai vu.(私が見たのはポールだ)

目的語「Paul」を強調。J’ai vu Paul(私はポールを見た)という普通の文から、「誰を見たのか」を強調したいときに que を使って再構成。que の後に主語 j’+動詞 ai vu が続きます。

C’est hier que nous sommes partis.(私たちが出発したのは昨日だ)

副詞「hier(昨日)」を強調。通常の語順では「Nous sommes partis hier.」となりますが、「いつ出発したか」を特に目立たせる目的で強調構文を使います。時間・場所などの副詞句にも que を使います。

C’est à Paris que l’histoire se déroule.(物語が展開するのはパリである)

場所「à Paris」を強調。「L’histoire se déroule à Paris.(物語はパリで展開する)」から、「どこで」が重要な情報であるときにこの構文を使います。前置詞句も que で受けます。

Ce n’est pas toi que j’attendais.(私が待っていたのは君じゃない)

否定形の強調構文。「J’attendais toi(私は君を待っていた)」ではなく、「実は君ではなかった」と訂正や対比のニュアンスを込めて使われます。que を使う構文でも、C’est の部分は否定形にできます。

文法のポイント解説

なぜ強調構文を使うのか?

フランス語は語順が比較的固定されており、日本語のように「話し手の感情」や「焦点」を自由に語順で表現するのが難しい言語です。

そのため、何を強調したいかを伝えるための文法的な仕組みとして、強調構文が使われます。

  • Marie parle.(マリーが話している)
    → 誰が話しているのかは一応わかるが、強調はされていない。
  • C’est Marie qui parle.(話しているのはマリーだ)
    → 他の人ではなく「マリー」に焦点が当たる。たとえば「ルイじゃなくてマリーだよ」と言いたいような文脈。

構文の作り方のコツ

  1. もとの文を作る:例:Je vois Paul.(私はポールを見る)
  2. 強調したい部分を選ぶ:この例では「Paul(目的語)」を強調したい
  3. C’est ~ que を使って組み立て直す:→ C’est Paul que je vois.

このように、主語を変えずに一部だけを前に出し、「C’est ~ que / qui ~」の形にするだけで、情報の焦点を自然に移すことができます。

否定文・疑問文にも応用できる

強調構文は肯定文だけでなく、否定文や疑問文でも使うことができます。

  • Ce n’est pas Paul que j’ai vu.(私が見たのはポールではない)
    → 相手の思い違いを訂正するときなどに使う
  • Est-ce que c’est aujourd’hui que tu pars ?(君が出発するのは今日なの?)
    → 疑問文でも自然に使える

まとめ

  • フランス語の強調構文(C’est ~ que / qui ~)は、主語・目的語・時間・場所など、文の一部を目立たせたいときに使う。
  • 主語を強調する場合は qui、その他(目的語・副詞句・前置詞句)は que を使う。
  • qui の後には動詞、que の後には主語+動詞が続くという語順の違いに注意。
  • 否定文・疑問文にも対応可能で、フランス語らしい表現の幅を広げる重要な構文である。

記事URLをコピーしました