初中級文法

【初中級文法⑰】指示代名詞の使い方

Izumi

「これ」「あれ」「それ」といった言葉は、日常会話で非常によく使われます。フランス語では、こうした言葉にあたるのが「指示代名詞」です。

指示代名詞を使えば、すでに話題に出たものや見えているものを指し示すことができ、文を簡潔に保つことができます。

このレッスンでは、基本的な指示代名詞の形と使い方、文中での役割を学びます。

指示代名詞とは?

指示代名詞は、すでに話題に出た名詞や、話し手・聞き手の共通認識にある物事を指すための代名詞です。日本語では「これ」「それ」「あれ」「〜のもの」などに相当します。

たとえば「この本が好き。でもその本は高い」という文では、2文目の「その本」は、すでに出てきた「この本」を受けています。

フランス語では、このように名詞の繰り返しを避けるために指示代名詞(celui, celle, ceux, celles)を使います。

指示代名詞の形

フランス語では、性(男性・女性)と数(単数・複数)に応じて指示代名詞の形が4種類に変化します。

性・数指示代名詞対応する意味
男性単数celuiこれ/それ(男性単数)
女性単数celleこれ/それ(女性単数)
男性複数ceuxこれら/それら(男性複数)
女性複数cellesこれら/それら(女性複数)

これらの語は、基本的に「de + 名詞」または「関係代名詞(qui, que など)」とセットで使われます。

単独で「celui」などが文に出てくることは稀で、「celui que…(〜であるもの)」「celle de…(〜のもの)」のような形で使われるのが一般的です。

指示形容詞ではないことに注意

「この〜」「その〜」と名詞に直接くっつく ce, cette, ces は指示形容詞であり、今回扱う「celui, celle」などの指示代名詞とは別物です。

指示形容詞と指示代名詞は、フランス語学習者にとって混合しやすい部分なので注意しましょう。

  • Ce livre est intéressant.(この本は面白い)
    ← 「Ce」は指示形容詞
  • Celui que j’ai lu est intéressant.(私が読んだ本は面白い)
    ← 「Celui」は指示代名詞
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例文と解説

Tu veux cette chemise ou celle-là ?(このシャツがいい?それともあれ?)

celle-là は女性単数名詞 chemise を代用。語尾の -là によって「遠くの(あの)」というニュアンスが加わります。文の構造上は「celle(それ)+ là(そこ)」で「そっちの(=あれ)」となります。

Celui que j’ai acheté est rouge.(私が買ったものは赤い)

celui は男性単数名詞(例:sac)を代用し、関係節 que j’ai acheté(私が買った)とともに「私が買ったそれ」を表します。「celui que〜」は「〜なもの」と訳せる便利な型。

Ceux de Marie sont plus chers.(マリーのもののほうが高い)

ceux は男性複数(例:livres)を代用し、「マリーの〜」という意味を de Marie で示しています。「de + 名詞」で所有関係を表す定番パターンです。

Celle que tu as choisie est jolie.(君が選んだものはきれいだ)

celle は女性単数(例:robe)を代用。関係節 que tu as choisie により「君が選んだもの」となります。関係代名詞 que のあとの過去分詞 choisie は celle に性数一致して -e がついている点にも注意(男性単数 celui の場合はそのまま choisi を使用)。

Celles de Paul sont sur la table.(ポールのものはテーブルの上にある)

celles は女性複数(例:photos)を指します。所有者を de Paul で明示しており、「ポールのそれら」という意味になります。テーブルの上にある対象が複数の女性名詞であることが文脈から読み取れます。

文法のポイント解説

性・数の一致は必須ルール

指示代名詞は、代わりに指し示す名詞の性(男性/女性)と数(単数/複数)に必ず一致させる必要があります。

英語の「this」や「that」 は性・数に関係なく使えますが、フランス語では文法的な一致が不可欠です。

  • Je préfère la robe rouge. Celle que tu as choisie est bleue.
    (私は赤いドレスが好きです。あなたが選んだものは青色です)
    → la robe(女性単数)に合わせて celle を使用。
  • J’ai acheté les livres. Ceux de Paul sont plus intéressants.(私は本を買いました。ポールのものの方が面白いです)
    → les livres(男性複数)に合わせて ceux を使用。

de や関係代名詞とセットで使うことが多い

指示代名詞は通常、「どの〜」「〜のもの」といった説明の追加が必要です。そこでよく使われるのが以下の2パターンです:

celui de + 名詞(〜のもの)

  • Celui de Paul est plus grand.(ポールのものの方が大きい)

celui que / qui + 動詞(〜するもの/〜であるもの)

  • Celle que tu préfères est chère.(君が好むものは高い)

このように、指示代名詞は他の語とセットで文の中に組み込まれて使われるのが普通です。

-ci / -là で指示の距離を表す

話し手にとって近いものを指す場合は -ci(ここ)、離れているものには -là(あれ) を後ろに付けることもできます。

  • celui-ci(これ/近いもの)
  • celui-là(あれ/遠いもの)

この構造は、2つ以上のものを比較するときによく使います。

  • Tu préfères celui-ci ou celui-là ?(こっちの方が好き?それともあっち?)

まとめ

  • 指示代名詞は「これ」「それ」「あれ」「〜のもの」といった意味を持つ代名詞で、名詞の繰り返しを避けるのに役立つ。
  • 形は4種類(celui, celle, ceux, celles)で、元の名詞の性と数に必ず一致させる。
  • ほとんどの場合、「de + 名詞」「que / qui + 節」などと組み合わせて使う。
  • -ci(近く)と -là(遠く)をつけて、話し手の距離感や比較を明示することもできる。
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