Lesson 10|疑問文の作り方

フランス語では、平叙文(普通の文)を疑問文にするために、いくつかの方法が存在します。
その中でも、基本かつ頻繁に使われるのが“est-ce que” を用いる方法と、「倒置(主語と動詞の語順を逆にする)」です。
このレッスンでは、これらの疑問文の作り方のルールと使い分けを学び、フランス語で自然な質問ができるようになることを目指します。
フランス語の疑問文とは?
フランス語では、イントネーション(声の上げ下げ)だけで疑問文にする方法もあります。
ただ、イントネーションによる疑問文は話し言葉に限られるため、文法的に正しい疑問文を作るには特定の構文ルールを理解しておく必要があります。
本レッスンでは、特に基本となる2つの方法に焦点を当てます。
est-ce que を使った疑問文
est-ce queは、もっとも標準的でわかりやすい疑問文の作り方です。
特徴は、平叙文の前に est-ce que を置くだけというシンプルさです。
- 平叙文:Tu parles français.(君はフランス語を話す)
- 疑問文:Est-ce que tu parles français ?(君はフランス語を話しますか?)
文の語順はそのままなので、初心者にとっても取り組みやすい方法です。
倒置を使った疑問文
もうひとつの基本が倒置です。これは、動詞と主語代名詞をひっくり返す形です。
英語の疑問文(Do you speak?)に似た感覚ですが、フランス語ではより明確なルールがあります。
- 平叙文:Il vient.(彼は来る)
- 疑問文:Vient-il ?(彼は来ますか?)
倒置を使うと文がコンパクトにまとまり、特にフォーマルな書き言葉で好まれます。
文法のポイント解説
フランス語の文 | 日本語訳 | 解説 |
---|---|---|
Est-ce que tu aimes le chocolat ? | 君はチョコレートが好きですか? | est-ce que を使った基本的な疑問文 |
Est-ce qu’il est prêt ? | 彼は準備できていますか? | que が qu’ に短縮されるパターン |
Parles-tu anglais ? | 君は英語を話しますか? | 動詞と主語代名詞を倒置 |
Viendra-t-elle demain ? | 彼女は明日来ますか? | -t- を挿入して発音を滑らかにする |
Est-ce que Marie est ici ? | マリーはここにいますか? | 主語が名詞の場合でも est-ce que を使えば簡単 |
est-ce que|初心者向きの基本形
フランス語の疑問文でまず覚えたいのが、est-ce queを使う方法です。
est-ce queは、文の語順をいじらず、単に文頭に加えるだけなので非常にシンプルです。
特にフランス語学習の初期段階では、まずこの形に慣れることをおすすめします。
母音や無音の h で始まる単語の前では注意
フランス語では、発音がスムーズになるように母音同士が続くのを避ける傾向があります。
これは疑問文を作るときにも重要なルールです。
est-ce queを使う場合、後続の単語が母音または無音のhで始まると、queのeを落として短縮形 qu’ にします。
この短縮をしないと、「que il」「que elle」といった発音がもたつく形になり、不自然な音の連続になってしまいます。
また、無音の h は、見た目は子音ですが、発音上は母音と同じ扱いになるため、必ず短縮します。
一方で、héros(英雄)、haricot(インゲン豆)といった、有音のhを持つ単語には短縮しません。
単語のhが有音か無音かどうかは辞書に記載されているため、少しずつ覚えていく必要があります。
倒置|少しフォーマルな場面に使う形
動詞+主語代名詞の順番にする倒置は、少し硬い印象を与えますが、短く自然な響きになります。
- Aimez-vous la musique classique ?(あなたはクラシック音楽が好きですか?)
主に書き言葉やニュース、講演、インタビューなど、やや改まった場面で使われます。
名詞が主語のときは要注意!
フランス語で倒置(動詞+主語代名詞)を使う場合、主語が代名詞(je, tu, il, etc.)であれば簡単に倒置できます。
しかし、主語が名詞(例えばMarie、Paul、本のタイトルなど)だった場合、名詞だけを倒置することはできません。
この場合は、名詞をそのまま置き、さらに代名詞を倒置する特別なルールが必要です。
なぜ代名詞が必要なのかというと、名詞を倒置してしまうと文が不自然になり、フランス語の語順規則に反してしまうためです。
-t- の挿入|発音をなめらかにする工夫
フランス語では、母音が連続するのを避けるために、疑問文で-t-という音を間に入れることがあります。
特に、倒置の際に以下の条件を満たすときに発生します。
これにより、動詞 -t- 主語代名詞という形になります。
-t-を挿入しないと、”a il” や “arrive elle” のように母音が連続し、発音が難しくなってしまうので、発音上の便宜のために使われます。
-t-自体に文法的な機能はありませんが、書き言葉では必須なので、試験やフォーマルな場では必ず守りましょう。
まとめ
- フランス語では疑問文を作る際に、est-ce queまたは倒置を使うのが基本。
- est-ce queは文の語順を変えず、初心者でも使いやすい。
- 倒置は書き言葉やフォーマルな場面でよく使われ、短く引き締まった文になる。
- 母音の前では que → qu’ に短縮し、倒置では-t- を挿入することがある。
- 初めはest-ce queで確実に質問を作る練習をし、徐々に倒置にも慣れていこう。