初中級

【フランス語文法#29】大過去の使い方

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Izumi

フランス語の大過去は、過去の中でもさらに前の出来事を表すときに使われる時制です。

日本語では「〜していた」「〜してしまっていた」「〜していたところだった」などの表現に相当します。

このレッスンでは、大過去の作り方と使い方を学び、過去の中での時間の流れを自然に表現できるようになることを目指します。

1. 大過去とは?

フランス語の大過去は、「過去のある時点よりもさらに前に起きていたこと」を示すための文法時制です。

主に以下のような文脈で使われます:

  • ある出来事の背景として、さらに前の出来事を語るとき
  • 「〜した後で〜した」「〜する前に〜していた」といった時系列の前後関係を明確にしたいとき
  • 過去の回想や説明で「すでに完了していた動作」を描写したいとき

例文

  • Quand je suis arrivé, il avait déjà fini son travail.
    (私が到着したとき、彼はすでに仕事を終えていた)

このように、過去の「到着した(過去形)」より前に起きた「仕事を終えた」という動作を大過去で表します。

2. 大過去の構造

大過去は、以下のように構成されます。

【大過去】 avoir / être の半過去形 + 過去分詞

avoir は大多数の動詞に使用します。一方、être は主に「移動動詞」や「代名動詞」に使用します(例:arriver, aller, venir, partir, se leverなど)。

また、être を使うときは過去分詞の性・数一致が必要です(女性形・複数形など)。

半過去形の活用一覧

主語avoir(半過去)être(半過去)
jeavaisétais
tuavaisétais
il / elle / onavaitétait
nousavionsétions
vousaviezétiez
ils / ellesavaientétaient

この avoir / être の活用形と過去分詞を組み合わせて、大過去をつくります。

大過去に使われる助動詞が être の場合、過去分詞は主語の性と数に応じて変化します。

avoir を使う動詞では基本的に一致しませんが、直接目的語が動詞の前に来る場合には一致が発生するという例外もあります。

3. 大過去は「2つの過去」があるときに使う

フランス語で大過去が使われるのは、2つの過去の出来事があるときです。

  • 1つ目:基準となる過去の出来事(複合過去・半過去などで示す)
  • 2つ目:それよりもさらに前に起きていたこと(大過去)

上記のように文の中に過去が2つ以上ある場合、その時間の順序(何が先で、何が後か)を明確にする必要があります。つまり、大過去では時系列が非常に重要になります。

たとえば次のような対比を見てください:

  • Quand je suis arrivé, il a fermé la porte.
    (私が着いたとき、彼はドアを閉めた)
    → ほぼ同時に起こった出来事なので、単純に複合過去を2つ使って表現
  • Quand je suis arrivé, il avait déjà fermé la porte.
    (私が着いたとき、彼はすでにドアを閉めていた)
    → 私が着く前に、ドアを閉める行為はすでに完了していた → 大過去の出番

このように、「先に起こった方」を大過去で、「後に起こった方」を複合過去や半過去で表すと、フランス語らしい時系列表現になります。

4. 「背景」「状況説明」「理由づけ」にも使える

会話や物語の中では、大過去が単なる動作の順序だけでなく、背景の提示や状況の説明、あるいは理由づけの表現としても使われます。

  • J’avais oublié mon parapluie, alors j’ai été mouillé.
    (傘を忘れていたので、濡れてしまった)

「忘れた」ことは「濡れる」より前の出来事なので、「濡れた理由(J’avais oublié mon parapluie)」に大過去を使用します。

  • Elle était déjà partie quand nous sommes arrivés.
    (私たちが到着したときには、彼女はすでに出発していた)

例文の時系列を見ると、「彼女の出発」→ 「私たちが到着」なので、背景・状況の提示として「彼女の出発(Elle était déjà partie)」を大過去で表現します。

このように大過去は、出来事同士の因果関係や時間関係を整理するときに非常に効果的です。

5. 大過去を使うときの目印となる表現

大過去が使われやすい文脈にはある程度決まった表現や接続詞が登場します。

以下は大過去とよく一緒に使われる語句です:

表現意味大過去との関係
quand~したとき時間の基準点を作る(後に複合過去)
avant que~する前に大過去の文に続くことが多い(従属節は接続法)
déjàすでに大過去の完了のニュアンスを強調する
parce que~だったので結果と原因の前後関係を示す構文に使われる
  • Quand il est arrivé, j’avais déjà fermé la porte.
    (彼が到着したとき、私はすでにドアを閉めていた)
    →déjà(すでに)を使うことで、行為の完了を強調。
  • Il était parti quand j’ai téléphoné.
    (電話したときには出発していた)
     → quand(〜したとき)が基準となり、行為の前後関係が明確に。

6. まとめ

  • 大過去は、「過去のある時点より前の出来事」を表す時制。
  • 構成は「avoir / être の半過去形 + 過去分詞」。
  • 移動動詞や代名動詞では être を使い、過去分詞の性・数の一致も必要。
  • 「déjà」「quand」「avant que」などと組み合わせて自然に使う。
  • 他の過去時制(複合過去・半過去)との関係を整理しておくと、表現の幅が広がる。

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泉(Izumi)
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