フランス語には過去時制を表す方法が複数あり、その中でも複合過去と半過去は特に混同されやすい文法です。
この2つは形だけでなく、意味の捉え方や話し手の視点も異なるため、正しく使い分けることが大切です。
このレッスンでは、それぞれの特徴と違いを詳しく学び、自然な過去表現ができるようになることを目指します。
1. 複合過去と半過去の基本
フランス語では、過去を表すときに「複合過去」と「半過去」という2つの過去時制を使い分けます。
それぞれ、文の状況・話し手の視点・出来事の性質によって適切に選ぶ必要があります。
1-1. 複合過去
複合過去は、一度きりの出来事や、完了した行動・結果に注目するときに使います。
英語で言えば “I ate”(私は食べた)のような意味に近いです。
【複合過去】avoir または être の現在形 + 過去分詞
- J’ai rencontré Marie.(マリーに会った)
→ 一度限りの完結した出来事。
1-2. 半過去
半過去は、継続・習慣・背景描写・進行中だったことを表す時制です。
動作の完了に重点はなく、状況の中でどうだったかを描写する働きがあります。
英語の “I was eating”(食べていた)や “I used to eat”(よく食べていた)に近いです。
【半過去】一人称複数形の語幹 + 語尾(-ais, -ais, -ait, -ions, -iez, -aient.)
- Quand j’étais petit, je jouais au parc.(子どものころ、公園でよく遊んでいた)
→「〜していた」のような、状況や過程に焦点を当てるときに使います。
2. 複合過去は「行動の結果・出来事の完結」に注目
複合過去は、「何が起きたか」「その行動が完了したかどうか」に主眼を置く時制です。
その出来事が、ある時点で明確に完了していることがポイントです。
- J’ai fini mes devoirs.(宿題を終えた)
- Elle est rentrée tard.(彼女は遅く帰宅した)
- Nous avons mangé à midi.(私たちは正午に食事をした)
これらは、いずれも明確なタイミングがあり、動作が一度きりで完了しているので、複合過去を使います。
3. 半過去は「習慣」「状態」「背景」の描写に使う
半過去は、「いつも〜していた」「そのときの状況は〜だった」などのように、継続していたことや習慣的な行動、物語の背景描写などを説明するために使います。
- Il faisait beau ce jour-là.(その日はいい天気だった)
- Nous habitions à Lyon.(私たちはリヨンに住んでいた)
- Chaque matin, elle prenait du café.(毎朝、彼女はコーヒーを飲んでいた)
これらはすべて、状況や習慣として続いていたことを表しています。
4. 複合過去+半過去の併用
物語や会話では、出来事を複合過去、背景描写を半過去で表すパターンがよく使われます。
この構造を理解することで、時間の流れや視点の切り替えを的確に表現できるようになります。
- Je regardais un film quand il m’a téléphoné.
(映画を観ていたとき、彼が電話してきた)
→ 観ていた(進行中)=半過去/電話がかかる(完了)=複合過去
5. まとめ
- 複合過去は、一度きりの行動・完了した出来事・結果の文脈で使う。
- 半過去は、習慣・背景・継続動作・進行中の状態を描写する際に使う。
- 物語や会話文では、背景=半過去、出来事=複合過去の組み合わせがよく登場する。
- どちらを使うか迷ったときは、「その行動は終わっているのか」に注目することがポイント。
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