【フランス語文法#52】命令文の作り方

フランス語の命令文は、「〜しなさい」「〜しましょう」「〜しないでください」といった、相手に直接何かを伝えるときに使う表現です。
英語でいえば “Close the door.” “Let’s go.” “Don’t be late.” にあたります。
フランス語では、命令の相手によって動詞の形が変わり、また語順も通常の文とは異なる場合があります。
このレッスンでは、命令文の作り方の基本から、肯定・否定の命令、代名詞の位置までを具体的に学びます。
1. 命令文の基本
フランス語の命令文は、動詞を主語なしで使い、相手に直接指示・依頼を伝える文です。
英語の命令文とは違い、相手が誰かによって動詞の活用が変わるのが特徴です。
以下のように、フランス語では命令文は3つのタイプに分かれます。
命令の対象 | 対応する主語 | 備考 | 例文 |
---|---|---|---|
親しい相手 | tu | 動詞は2人称単数形を使う(-er動詞では-sを取る) | Mange !(食べて) |
自分を含む複数 | nous | 「〜しよう」などの提案表現 | Allons-y !(行こう) |
複数の相手/丁寧表現 | vous | 礼儀ある命令や複数人への指示 | Écoutez bien.(よく聞いてください) |
2. 肯定命令文の作り方
命令文は、主語なしで動詞を使うのが基本です。動詞は活用形をそのまま使います。
- Tu manges.(君は食べる) → Mange !(食べなさい)
- Vous écoutez.(あなたたちは聞く) → Écoutez !(聞いてください)
ここで注意すべきなのは、-er 動詞の tu 形では語尾の -s を省略することです。
上記の例文のように、“Tu manges.” の命令形 “Mange!”では語末の -s が取られています。他の規則動詞(-ir, -re)では -s はそのまま残ります。
また、例外として、目的語 y / en が後に続く場合は -s を残します。
- Manges-en !(それを食べなさい)
3. nous 形と vous 形の命令
nous を使った命令形は、「〜しよう」という提案になります。
- Finissons nos devoirs.(宿題を終わらせよう)
- Allons-y !(行こう!)
vous を使った命令は、複数の相手や丁寧な命令で使われます。
- Fermez la porte, s’il vous plaît.(ドアを閉めてください)
- Lisez ce texte.(この文章を読んでください)
このように1人称複数と2人称複数の命令文は、通常の活用形をそのまま使うだけでOKです。
4. 否定命令文の作り方
否定の命令文では、「Ne + 動詞 + pas 〜」 という語順で作ります。
肯定命令と同じ活用形を使い、主語を省略したまま否定の枠で囲むのがポイントです。
- Ne mange pas !(食べないで!)
- Ne vous levez pas.(立たないでください)
→ vous は再帰動詞 se lever に対応する再帰代名詞 - Ne nous dépêchons pas.(急がないようにしよう)
→ nous は再帰動詞 se dépêcherに対応する再帰代名詞
語順は単純ですが、「命令文でも否定するときは ne 〜 pas でしっかり挟む」というルールを忘れないようにしましょう。
5. 目的語代名詞がある場合の語順
命令文に目的語代名詞(le, la, leur, y, en など)を伴うとき、語順が肯定命令と否定命令で異なります。
肯定命令:動詞 + 代名詞(ハイフンでつなぐ)
肯定命令文の場合、動詞の後に目的語代名詞を置き、両者をハイフンで繋ぎます。
- Vas-y !(行って!)
- Parle-lui !(彼に話して!)
否定命令:ne + 代名詞 + 動詞 + pas
否定命令の場合、代名詞は動詞の前に置き、2つを「ne 〜 pas」で挟みます。また、ハイフンで繋げる必要はありません。
- Ne lui parle pas.(彼に話さないで)
- Ne nous en parlons pas.(それについて話すのはやめよう)
6. まとめ
- フランス語の命令文は、主語なしで動詞だけを使う表現。
- 命令の対象は tu / nous / vous の3つ。動詞の活用もそれに応じて使い分ける。
- -er 動詞の tu 形命令では -s を省く(例:Parle !)が、目的語 y / en が続くときは -s を残す。
- 否定命令では ne + 動詞 + pas の語順を使い、代名詞がある場合は語順に特に注意。
- 肯定命令では代名詞を動詞の後ろに、否定命令では前に置くというルールは必ず覚えること。