初中級文法

【初中級文法⑥】半過去の使い方

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Izumi

フランス語の「半過去」は、「昔の習慣」「継続していた状態」「背景描写」「感情・思考」などを表すために使われる過去時制です。

このレッスンでは、半過去の活用方法、使われる場面などを解説し、自然なフランス語の過去表現が使えるようになることを目指します。

半過去とは?

「半過去」はフランス語の過去時制の1つで、過去の出来事の中でも、一度で完結した動作ではなく、ある期間続いていたことや、繰り返されていたことを表します。

また、小説における場面の背景描写や、人の感情や思考、存在状態を語る際にも用いられます。

英語の used to や was doing に近い意味を持つ時制です。

半過去が使われるケース

過去の習慣や反復的行動

  • Chaque été, nous partions à la mer.(毎年夏、私たちは海に出かけていた)

継続していた状態・動作

  • Elle lisait un livre quand je suis entré.(私が入ってきたとき、彼女は本を読んでいた)

場面や背景の描写

  • Il faisait froid, et il neigeait.(寒くて、雪が降っていた))

感情・思考・内面の状態

  • Je pensais à mes vacances.(私はバカンスのことを考えていた)

活用方法:語幹+半過去の語尾

半過去は、「現在形の nous 形の語幹 + 活用語尾」の構造となっています。

現在形の nous 形(一人称複数形)から語幹を取り出し、「-ais, -ais, -ait, -ions, -iez, -aient」を語尾につけます。

主語parler(話す)finir(終える)être(不規則)
jeparlaisfinissaisétais
tuparlaisfinissaisétais
il/elle/onparlaitfinissaitétait
nousparlionsfinissionsétions
vousparliezfinissiezétiez
ils/ellesparlaientfinissaientétaient

例外的に être だけは語幹が「ét-」となります。

また、発音は 1〜3人称単数(je, tu, il/elle)と3人称複数(ils/elles) はすべて同じですが、書き分けが必要です。

例文と解説

Quand j’étais petit, je jouais au parc.(小さい頃、公園でよく遊んでいた)

「étais」は être の半過去(1人称単数)で、「私が小さい頃」という継続的な状態を表します。「jouais」は jouer の半過去で、「よく遊んでいた」という繰り返された行動を示しており、両方とも過去の背景と習慣を描いています。

Il faisait beau et les oiseaux chantaient.(天気が良く、鳥がさえずっていた)

「faisait」は faire の半過去、「chantaient」は chanter の半過去。どちらも景色や雰囲気などの状況描写に使われ、物語や説明文で背景を示すときによく登場します。

Elle lisait toujours avant de dormir.(彼女は寝る前にいつも読書していた)

「lisait」は lire の半過去で、「いつも〜していた」という習慣的な動作を表します。toujours(いつも)などの副詞が一緒に使われると、半過去も使われることが多いです。

Nous allions souvent au cinéma.(私たちはよく映画館に行っていた)

「allions」は aller の半過去。souvent(よく)という語からも分かるように、繰り返される行動や習慣には半過去が適しており、決まり文句のようによく使われる形です。

Il pensait à toi tous les jours.(彼は毎日あなたのことを考えていた)

「pensait」は penser の半過去で、思考や感情の持続を表現しています。tous les jours(毎日)があることで、継続性が強調され、複合過去ではなく半過去が自然に選ばれます。

文法のポイント解説

半過去は「時間が流れている」状況の描写に使う

半過去は、過去のある時点において行為や状態がまだ「進行中」であったことを示すときに使います。

これは、過去を「点(瞬間)」ではなく「線(継続)」として描写するための時制です。

  • Je lisais un livre quand il a téléphoné.(彼が電話してきたとき、私は本を読んでいた)

上記の例文では、「進行中の背景」を半過去、「完了した出来事」を複合過去と使い分けて描写しています。

「lisais(半過去)」は電話が来た時点でまだ「読んでいる途中」の状態を表します。

一方で「a téléphoné(複合過去)」 は、「電話する」という一度きりの動作が完了したことを示しています。

半過去は「習慣的な行動・定例的な出来事」に使う

何度も繰り返されたこと・毎日のルーティンなどは半過去を用います。

「過去に一度だけ起こったこと」を示す複合過去とは区別します。

  • Quand j’étais à l’université, je mangeais souvent à la cafétéria.
    (大学にいた頃、私はよく学食で食べていた)

「étais(êtreの一人称単数・半過去)」は、 大学在学中の「継続した状態」を表しています。

そして「mangeais souvent」 は日常的に繰り返されていた行動で、こちらも半過去を使います。

ポイント

「〜だった」「〜していた」のように、「過去のある程度の長さのある出来事」を表す場合、半過去がぴったり合います。

半過去は「背景描写・情景描写・状況説明」に使う

小説や物語、過去の体験談などで、ある出来事の背景や周囲の状況を説明するとき、半過去がよく使われます。

  • Il faisait froid, la neige tombait lentement, et tout était calme.
    (寒くて、雪が静かに降っていて、すべてが静かだった)

このような描写の中では、今まさにその風景を見ているかのように過去の場面が描き出されるため、「進行中・持続的な描写」を表す半過去が適しています。

半過去は「感情・思考・存在」のような内面の流れにも使う

人の心の中で起こっていたこと(考え、感情、願い、体調など)を語る場合、半過去が使われます。

一時的な動作というより、「そのときそういう気持ちだった」「そう感じていた」などの継続した状態を表すため、半過去が適しています。

  • Je pensais à mes parents.(私は両親のことを考えていた)
  • Il voulait devenir médecin.(彼は医者になりたかった)
  • Elle était malade.(彼女は具合が悪かった)
ポイント
  • 感情・願望・思考 → penser, vouloir, croire, espérer, avoir peur など
  • 存在や状態 → être, avoir, sembler, paraître

こうした動詞が文中に出てくる場合は、その感情が一瞬で終わるものではなく、続いていたことを示すために半過去が自然に使われます。

まとめ

  • 半過去は、過去に継続していた行為・状態・感情を表すために使う。
  • 活用は「nous形の語幹 + 半過去語尾(-ais, -ais, -ait, -ions, -iez, -aient)」。例外は être。
  • 複合過去と使い分けるためには、時間の流れ・習慣性・一時的な完了動作かどうかに注目。
  • フランス語では状況を丁寧に描写するために半過去が頻繁に使われる。文章理解・会話両方で重要な時制。

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