【フランス語文法#55】Il faut + 不定詞

フランス語で「〜しなければならない」「〜する必要がある」と言いたいとき、よく使われる表現が「Il faut + 不定詞」です。
この文法はシンプルで使いやすいだけでなく、日常生活でもよく登場する表現です。
このレッスンでは、“Il faut 〜” の意味や不定詞との組み合わせ方、よく使う動詞の例といった項目に焦点を当てて解説します。
1. 「Il faut + 不定詞」構文の基本
1-1. 「〜しなければならない」という必要性を表す
フランス語の Il faut は、英語の “It is necessary to” や “You must” にあたる表現です。
何かをする必要がある、という一般的な義務や必要性を表します。
- Il faut étudier.(勉強しなければならない)
- Il faut dormir.(寝なければならない)
このように、Il faut の後に動詞の原形(不定詞)を置くことで、「〜することが必要」という意味になります。
1-2. 「Il」は意味を持たない形式主語
この構文で主語として使われている「Il」は、特定の人や物を指しているわけではなく、形式的に文を成立させるために置かれる主語です。
日本語に訳すときは「それは」と訳さずに、「〜する必要がある」と自然な訳にするのがポイントです。
1-3. 「faut」は falloir の三人称単数形
“Il faut 〜”の「faut」は、動詞 falloir(〜する必要がある)の三人称単数形です。
この動詞 falloirは、「Il faut + 不定詞」の構文のみで使われる特殊な動詞です。また、主語は常に「Il」で固定されます。
2. 「不定詞」は行動内容を表す
「Il faut」のあとには、不定詞(動詞の原形)を続けて、「何をする必要があるのか」を表現します。
使える動詞は非常に多く、次のような表現が可能です:
- Il faut parler.(話す必要がある)
- Il faut finir ce travail.(この仕事を終わらせる必要がある)
- Il faut faire attention.(注意しなければならない)
- Il faut se lever tôt.(早起きしなければならない)
特に、faire(する)、prendre(取る)、avoir(持つ)、aller(行く)などの頻出動詞との組み合わせが多いです。
3. 否定形の作り方:Il ne faut pas + 不定詞
“Il faut 〜” を否定するときは、動詞 faut を「ne … pas」で囲むだけで否定文を作ることができます。
- Il ne faut pas courir ici.(ここで走ってはいけません)
→ 「ne … pas」で動詞 faut を挟むことで、「〜してはならない」という意味になります。
このように “Il faut 〜”の構文は、義務やルールを伝えるのに適した表現です。
4. 再帰動詞との組み合わせも可能
フランス語で「自分自身に行う動作」を表す再帰動詞も、この構文で使うことができます。
- Il faut se lever tôt.(早く起きる必要がある)
→ se lever は「起きる」の意味の再帰動詞。つまり「誰かが自分自身で起きる」という意味になります。
再帰代名詞 se が faut の後に続き、「faut + se + 不定詞」の語順となります。
また、“Il faut 〜”の構文では再帰代名詞は活用せず、常に三人称単数形 se を使います。
5. 目的や理由を加える表現
「〜する必要がある。その理由は〜」というように、「Il faut + 不定詞」のあとに理由や目的を加えることで、より説得力のある文を作ることもできます。
- Il faut étudier pour réussir.
(成功するためには勉強する必要がある)
→ pour + 不定詞(〜するために)で目的を加えて意味を広げられます。 - Il faut bien manger pour rester en bonne santé.
(健康でいるためにはよく食べることが大切だ)
→ bien(よく)という副詞を不定詞 manger の前に置いて補足しています。
6. まとめ
- 「Il faut + 不定詞」は、「〜する必要がある」「〜しなければならない」という意味を表す重要な表現。
- 主語「Il」は形式主語で、日本語には訳さない。
- 否定文は「Il ne faut pas + 不定詞」。禁止や注意の表現に使える。
- 再帰動詞もそのまま不定詞として使える(例:se lever, se reposer)。
- 理由や目的を加えると、より実践的な文が作れる。