【フランス語文法#7】être の活用と用法

「être」はフランス語の最重要動詞のひとつで、日本語の「〜である/〜にいる」にあたります。
主語によって形が大きく変化し、また自己紹介や状態の説明、場所の表現など、日常会話で非常によく使われます。
このレッスンでは、être の現在形の活用と、基本的な使い方を学びます。
1. être(エートル)とは?
être はフランス語でもっとも基本的で、かつ重要な動詞のひとつです。
意味は「〜である」「〜にいる」「存在する」と広く、日本語の「です/である」「にいる」「がある」などに相当します。英語でいう “be動詞” にあたります。
フランス語の中核をなす動詞
être は会話、文章、説明、自己紹介、質問など、あらゆる場面で使われる動詞です。
- Je suis étudiant.(私は学生です)
- Il est fatigué.(彼は疲れている)
- Nous sommes à Tokyo.(私たちは東京にいます)
このように、「人や物の状態・存在・属性・場所」を伝える際、必ずといっていいほど使います。
2. être の3つの基本的な意味
2-1. 存在を示す:「〜にいる/ある」
- Le livre est sur la table.(本がテーブルの上にある)
- Elle est à la maison.(彼女は家にいる)
2-2. 属性を表す:「〜である(性質・身分・国籍など)」
- Je suis français.(私はフランス人です)
- Il est professeur.(彼は教師です)
2-3. 状態・感情を表す:「〜の状態である」
- Tu es malade ?(君、病気なの?)
- Nous sommes contents.(私たちは満足している)
3. être は「助動詞」としても重要
フランス語には複合時制(例:複合過去)があり、その構成に助動詞が必要です。
être はその助動詞としても使われます(特定の動詞に限られます)。
- Elle est allée au marché.(彼女は市場に行った)
- Nous sommes arrivés en retard.(私たちは遅れて到着した)
このように、être は単独で使うだけでなく、他の動詞と組み合わせて時制を作る役割も担います。
4. 活用は不規則!でも超重要
être はいわゆる「不規則動詞」に分類され、現在形でも主語ごとに大きく形が変わります。
そのため、語尾の変化パターンに頼らず、形ごと覚えることが必要不可欠です。
主語 | 活用形 | 読み方 | 例文 |
---|---|---|---|
je | suis | スュイ | Je suis étudiant.(私は学生です) |
tu | es | エ | Tu es gentil.(君は優しい) |
il / elle / on | est | エ | Elle est ici.(彼女はここにいる) |
nous | sommes | ソム | Nous sommes à Paris.(私たちはパリにいる) |
vous | êtes | ゼット | Vous êtes professeur.(あなたは先生です) |
ils / elles | sont | ソン | Ils sont fatigués.(彼らは疲れている) |
発音にも注意が必要で、書き方と読み方が一致しないケースも多くあります。
たとえば「est(彼は〜です)」と「es(君は〜です)」はどちらも「エ」と読みます。
4. être の具体的な使い方
4-1. 職業・国籍・身分の表現に使う
être は英語の“be動詞”のように、職業・国籍・身分の表現に使います。
また、フランス語では職業・国籍・宗教などを表すとき、冠詞をつけないのが原則です。
- Je suis professeur.(私は教師です)← OK
- Elle est japonaise.(彼女は日本人です)← OK
- Je suis un professeur. ← No
4-2. 形容詞とともに「性格・気分・体調」を表す
「être + 形容詞」で、「今どんな状態か」や「どんな性格か」を伝える表現ができます。
形容詞は、主語の性・数に合わせて変化します。
- Il est fatigué.(彼は疲れている)
- Elle est fatiguée.(彼女は疲れている)
- Ils sont contents.(彼らは満足している)
- Elles sont contentes.(彼女たちは満足している)
特に複数形や女性形への変化は、スペリングの違いだけでなく発音も微妙に変わるため注意が必要です。
4-3. 場所・位置を表す:être + 前置詞句
「〜にいる/ある」を表すには、「être + 場所を導く前置詞(à, sur, dans など)」を使います。
- Le chat est sur la chaise.(猫は椅子の上にいる)
- Nous sommes à l’école.(私たちは学校にいる)
- Le téléphone est dans le sac.(携帯はカバンの中にある)
「à la / au / à l’ / aux」のように、場所に応じて前置詞と冠詞の形も変化します。

4-4. 時間・日付・天気などにも使われることがある
être は一部の慣用表現で時刻・曜日・天気の説明にも使われます。
- C’est lundi aujourd’hui.(今日は月曜日です)
- Il est huit heures.(8時です)
- C’est l’été.(夏です)
“Il fait〜”、“Il y a〜”といった天候表現もありますが、être も簡潔な説明に使われます。
4-5. 会話・自己紹介
フランス語会話では、自己紹介・挨拶・紹介文などにおいて être は非常によく使われます。
- Bonjour, je suis Marie.
(こんにちは、マリーです) - Voici Pierre. Il est mon frère.
(こちらはピエール。彼は私の兄です) - Elle est étudiante à l’université.
(彼女は大学で学んでいます)
4-6. 疑問文・否定文での使い方
疑問文や否定文でも être は活用形そのままで使われます。
- Tu es japonais ?(君は日本人?)
← 肯定文の語順のままイントネーションを上げる - Il n’est pas là.(彼はそこにいません)
← 否定文:ne + est + pas
5. まとめ
- être(〜である/〜にいる)は、フランス語で最も頻繁に使われる動詞の一つ。
- 活用は主語によって大きく変化するため、語形変化をしっかり覚えることが重要。
- 職業・国籍・感情・場所・状態など、さまざまな表現で使われる。
- 形容詞と組み合わせる場合は、性・数の一致に注意。