フランス語の間接話法は、他人の発言を自分の文章の中で言い換えて伝える方法です。
「彼は『〇〇』と言った」という直接話法と違い、間接話法では引用符を使わず、自分の文の中に組み込みます。
このとき重要になるのが 「時制の一致」 です。導入する動詞(dire, demander, répondre など)が過去時制の場合、従属節の時制を一段階後退させる必要があります。
今回は、フランス語の間接話法の基本構造と時制の一致のルールを具体的に解説します。
1. 間接話法の基本構造
フランス語の直接話法では、発言を引用符 « … » でそのまま示します。
一方で間接話法は、動詞 dire(言う), demander(尋ねる), répondre(答える), penser(考える) などの後に、que 節を続けて発言内容を表します。
- 直接話法
例:Il a dit : « Je suis fatigué. »(彼は「疲れた」と言った) - 間接話法
Il a dit qu’il était fatigué.(彼は疲れていたと言った)
この例のように、suis(現在形)が était(半過去)に変わっているのは、導入が過去形(a dit)だったことで時制が後退したためです。
2. 時制の一致の基本ルール
発言内容を導入する動詞が現在形や未来時制の場合、従属節の時制は変わりません。
しかし、導入する動詞が過去時制(複合過去・半過去・大過去など)の場合は、従属節の時制が一段階後退します。
代表的な対応関係は以下の通りです。
直接話法(引用の原文) | 間接話法(導入が過去形の場合) |
---|
直説法現在 | 直説法半過去 |
直説法複合過去 | 直説法大過去 |
直説法単純未来 | 条件法現在 |
直説法前未来 | 条件法過去 |
3. 例文で確認する時制の変化
3-1. 現在形(直接話法)→ 半過去(間接話法)
- 直接話法
例:Elle a dit : « Je suis fatiguée. »
(彼女は「疲れている」と言った) - 間接話法
例 : Elle a dit qu’elle était fatiguée.
( 彼女は疲れていたと言った)
3-2. 複合過去(直接話法)→ 大過去(間接話法)
- 直接話法
例:Il a dit : « J’ai terminé mon travail. »
(彼は「仕事を終えた」と言った) - 間接話法
例 : Il a dit qu’il avait terminé son travail.
(彼は仕事を終えていたと言った)
3-3. 単純未来(直接話法)→ 条件法現在(間接話法)
- 直接話法
例:Elle a dit : « Je partirai demain. »
(彼女は「明日出発する」と言った) - 間接話法
例 : Elle a dit qu’elle partirait le lendemain.
(彼女は翌日出発するだろうと言った)
3-4. 前未来(直接話法) → 条件法過去(間接話法)
- 直接話法
例:Il a dit : « J’aurai fini avant 8 heures. »
(彼は「8時までに終えているだろう」と言った) - 間接話法
例 : Il a dit qu’il aurait fini avant 8 heures.
(彼は8時までに終えていただろうと言った)
4. 代名詞・時間表現の変化
間接話法にするときは時制だけでなく、代名詞や時間・場所を表す副詞も変化する場合があります。
4-1. 代名詞の変化
- 直接話法
例:Elle a dit : « Je t’appellerai demain. »
(彼女は「明日あなたに電話する」と言った) - 間接話法
例 : Elle a dit qu’elle m’appellerait le lendemain.
(彼女は翌日私に電話すると言った)
4-2. 時間・場所の語の変化
- aujourd’hui(今日) → ce jour-là(その日)
- demain(明日) → le lendemain(翌日)
- hier(昨日) → la veille(前日)
- ici(ここ) → là(そこ)
5. まとめ
- 間接話法は「直接話法」を que 節に置き換えて表す。
- 導入が現在形や未来時制 → 時制の変化はない。
- 導入が過去時制 → 従属節の時制が一段階後退。
- 時制の変化:現在形 → 半過去、複合過去 → 大過去、単純未来 → 条件法現在、前未来 → 条件法過去
- 人称代名詞や時間・場所を表す語も変化する。
ABOUT SITE
このサイトではフランス語学習者に向けて、フランス語の文法をわかりやすく解説しています。