初級文法

【初級文法⑬】指示形容詞

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Izumi

フランス語では、「この本」「あの人」のように名詞を指し示すとき、指示形容詞(ce, cette, ces)を使います。

英語にも似た表現はありますが、フランス語では名詞の性別(男性・女性)と数(単数・複数)によって形が変わるのが特徴です。

このレッスンでは、指示形容詞の基本ルールと使い分け方、さらに文脈に応じた自然な使い方を学びます。

指示形容詞とは?

指示形容詞は、話し手が指し示したい特定の名詞に付く形容詞です。

日本語で言う「この」「その」「あの」に相当し、名詞とセットで使うのが基本ルールです。

フランス語の指示形容詞は、以下のように名詞の性(男性・女性)数(単数・複数)に応じて変化します。

性・数指示形容詞例文意味
男性単数(子音始まり)cece livreこの本
男性単数(母音・無音h始まり)cetcet hommeこの男性
女性単数cettecette maisonこの家
複数共通cesces enfantsこれらの子どもたち
ポイント
  • ce は男性単数名詞に使いますが、母音または無音の h で始まる単語の場合、発音をスムーズにするためにcetを使います。
  • cette は女性単数名詞に、ces は性別に関係なく複数名詞に使います。

文法のポイント解説

例文と表解説

フランス語の文日本語訳解説
Ce livre est intéressant.この本は面白い。男性単数+子音始まり:ce
Cet arbre est magnifique.この木は素晴らしい。男性単数+母音始まり:cet
Cette maison est ancienne.この家は古い。女性単数:cette
Ces enfants jouent dans le parc.これらの子どもたちは公園で遊んでいる。複数形:ces
Je préfère ces chaussures.私はこれらの靴の方が好きだ。複数形(女性名詞にも):ces

性と数による使い分け

フランス語の指示形容詞は、名詞の性別(男性・女性)と数(単数・複数)に合わせて形が変化します。

男性単数+子音始まり → ce / 男性単数+母音/無音h始まり → cet

ce は男性単数名詞が対象ですが、名詞が母音または無音の h で始まる場合は、cetを使います。

これはフランス語の発音を滑らかにするためのルールで、単語のつながり(リエゾン)をよくするために変化します。

女性単数 → cette

cette はすべての女性単数名詞に使われます。

複数形(性別に関係なく) → ces

ces は性別に関係なくすべての複数名詞に使われます。

指示形容詞+名詞の基本ルール

フランス語では、指示形容詞は単独では使えず、必ず名詞の前に置かれます。

  • Ce problème est difficile.(この問題は難しい)
  • Ces idées sont intéressantes.(これらのアイデアは興味深い)
英語との違い

英語の “this book” にあたるフランス語が “ce livre” です。

英語と違って、フランス語では性別と数を意識しないといけないため、名詞の性・数を正しく把握してから指示形容詞を選ぶ必要があります。

また、英語では this や these が単独で使われることもありますが、フランス語では必ず名詞が必要です。

  • Ce est intéressant.(この、は面白い)→ 名詞がないのでNG

-ci / -là を使った距離のニュアンス

フランス語では、より明確に「近いもの」と「遠いもの」を区別したいときは、ci(こちら)là(あちら)を使います。

これらの副詞を名詞の後ろに付けることで、話し手の位置に対する距離感を表すことができます。

  • Cet homme-ci est mon père.(こちらの男性は私の父です)
  • Ces fleurs-là sont magnifiques.(あちらの花は素晴らしい)
ポイント
  • -ci は、話し手に近いものを表します。
  • -là は、話し手から遠いものを表します。

この-ci / -làの使い分けは、話し手の心理的距離も表現することができます。

たとえば、-ciを使うと「親しみ」、-làを使うと「距離感・やや冷たい印象」を与える場合もあります。

  • Ce garçon-ci est mon ami.(この男の子は私の友達です)→ 近い・親しい感じ
  • Ce garçon-là est agaçant.(あの男の子は迷惑だ)→ 距離を置いたニュアンス

指示形容詞と定冠詞・不定冠詞の違い

フランス語には、名詞の前に置く語として、定冠詞(le, la, les)不定冠詞(un, une, des)もあります。

これらと指示形容詞の違いを正しく理解することが大切です。

種類使い方
定冠詞le, la, lesすでに特定された名詞を指す(例:le livre=その本)
不定冠詞un, une, des特定されていない名詞を導入する(例:un livre=1冊の本)
指示形容詞ce, cette, ces話し手が特定して「この」「あの」と指し示す(例:ce livre=この本)
指示形容詞と各冠詞の使い分け
  • 定冠詞は「聞き手も話し手も知っているもの」や「文脈で特定できるもの」に使います。
  • 不定冠詞は「初めて登場するもの」「特定しないもの」に使います。
  • 指示形容詞は、「これ」「それ」など、話し手が指し示す特定の対象に使います。

つまり、指示形容詞は単なる「ある本」「その本」ではなく、「この本」「あの本」と、話し手が積極的に何かを示すニュアンスを持っています。

まとめ

  • 指示形容詞は、名詞の性別(男性・女性)と数(単数・複数)によって形が変わる。
  • 男性単数名詞が母音または無音h始まりの場合は、cetを使う。
  • 複数形には性別にかかわらずcesを使用する。
  • より明確に区別したい場合は、名詞に-ci(近いもの)または-là(遠いもの)を付ける。
  • 指示形容詞は必ず名詞とセットで使い、単独では使用できない。

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