【フランス語文法#64】条件法現在

条件法現在は、フランス語で「もし〜なら〜だろう」という仮定や丁寧な依頼・提案を表すときに使われる動詞の形です。
英語の “would + 動詞” に相当しますが、フランス語では活用形がしっかり決まっており、未来形との混同に注意が必要です。
今回は、フランス語の条件法現在の作り方と使い方を解説します。
1. 条件法現在とは?
条件法現在は、フランス語で「〜だろう」「〜するだろう」という意味を表す時制・法の一つです。
主に次のような場面で使われます。
- 現実とは異なる仮定の状況
例:Si j’avais de l’argent, je voyagerais en France.
(もしお金があれば、フランスへ旅行するのに) - 丁寧な依頼や提案
例:Pourriez-vous m’aider ?
(手伝っていただけますか?) - 推測や不確かな情報
例:Il serait malade.
(彼は病気らしい)
2. 条件法現在の作り方
条件法現在は、「単純未来形の語幹 + 半過去の語尾」で作ります。
おさらいとして、半過去の語尾は「-ais / -ais / -ait / -ions / -iez / -aient」となります。
規則動詞の例:parler(話す)
- je parlerais(私は話すだろう)
- tu parlerais
- il / elle parlerait
- nous parlerions
- vous parleriez
- ils / elles parleraient
不規則動詞の語幹例
単純未来と同じ語幹を使うため、不規則動詞は語幹も不規則になります。
動詞 | 語幹 | 例(je形) |
---|---|---|
avoir | aur- | j’aurais |
être | ser- | je serais |
aller | ir- | j’irais |
faire | fer- | je ferais |
pouvoir | pourr- | je pourrais |
vouloir | voudr- | je voudrais |
venir | viendr- | je viendrais |
3. 条件法現在の用法解説
3-1. 仮定を表す用法:「si + 半過去, 条件法現在」
条件法現在の最も代表的な使い方は「現実とは異なる状況を想定する」ことです。
構文は 「si + 半過去, 条件法現在」 となります。
- Si j’avais plus de temps, je voyagerais en Europe.
(もしもっと時間があれば、ヨーロッパを旅行するのに)
→ 実際には時間がないという前提。 - Si nous habitions à Paris, nous irions au musée plus souvent.
(もしパリに住んでいれば、もっとよく美術館に行くだろう)
si 節の中は半過去形、結果の節は条件法現在になります。
英語の仮定法過去に相当しますが、フランス語では動詞の形がはっきりと変わります。
3-2. 丁寧な依頼・提案
条件法現在は、直接的な命令や依頼を避け、柔らかい表現にするためにもよく使われます。
特に aimer, pouvoir, vouloir などの動詞で頻出です。
- Je voudrais un café, s’il vous plaît.
(コーヒーを1つお願いします)
→ Je veux よりも丁寧。 - Pourriez-vous m’aider ?
(手伝っていただけますか?)
→ 丁寧な依頼表現。 - Aimeriez-vous dîner avec nous ce soir ?
(今晩私たちと一緒に夕食をいかがですか?)
→ 招待や提案の丁寧な言い方。
3-3. 推測や不確かな情報
条件法現在は、「伝聞」や「推測」を表すこともあります。
この用法はニュース記事や報道文でよく使われます。
- Il serait malade.(彼は病気らしい)
→ 情報源はあるが、確証はない。 - Ce magasin fermerait bientôt.
(この店はもうすぐ閉店するらしい)
この場合、話し手は事実を断定していない点が特徴です。
4. 直説法単純未来との違い
条件法現在と直説法単純未来は形が似ていますが、意味は全く異なります。
時制 | 例文 | 意味 |
---|---|---|
単純未来 | J’irai à Paris demain. | 明日パリに行く(予定) |
条件法現在 | J’irais à Paris si j’avais le temps. | もし時間があればパリに行くだろう(仮定) |
見分け方として、単純未来は「実際に起こる予定の出来事」を表します。
一方で条件法現在は、「条件が満たされた場合に起こること」を表します。
つまり、単純未来は予定や確定事項、条件法現在は条件付きや非現実の状況に使います。
5. まとめ
- 条件法現在は「単純未来の語幹 + 半過去の語尾」で作る。
- 用法は主に ①仮定 ②丁寧な依頼 ③推測や伝聞。
- 仮定文では 「si + 半過去, 条件法現在」 の形が基本。
- 単純未来と混同しないように注意(条件法は現実では起きていない・条件付きのことを表す)。
- 丁寧な依頼では aimer, pouvoir, vouloir などの動詞が頻出。