【フランス語文法#44】前置詞 + 不定詞

フランス語では、「〜するために」「〜する前に」「〜せずに」など、目的・時間・条件・対比を表すときに、「前置詞 + 不定詞」という形がよく使われます。
これは、文を簡潔に表現しながらも、意味のつながりを自然に保つためにとても重要な構文です。
今回のレッスンでは、「pour」「sans」「avant de」などの代表的な前置詞を使った不定詞構文を取り上げ、それぞれの使い方、意味、注意点などを解説していきます。
1. 「前置詞 + 不定詞」構文の基本
フランス語では、ある動作や行動の目的・条件・順序などを示すときに、前置詞のあとに不定詞(動詞の原形)を続ける構文が頻繁に使われます。
- Je fais des efforts pour réussir.(成功するために努力している)
→ pour + réussir(目的を表す)
このように、前置詞が導く動詞は「原形(不定詞)」の形で用いられるのがポイントです。
接続詞(que など)と異なり、主語を変えずに文をすっきりとつなぐことができます。
2. pour + 不定詞:「〜するために」
pour はもっともよく使われる前置詞の一つで、目的や意図を表します。
「何のために?」という問いに答える形です。英語の「to + 動詞」(to succeed, to learn など)に近いです。
- Je travaille pour vivre.
(生きるために働く) - Elle étudie pour passer l’examen.
(試験に合格するために彼女は勉強している) - Il court pour être en bonne santé.
(健康でいるために走っている)
「pour + 不定詞」の構文の特徴は、文がシンプルにまとまり、接続詞を使うよりも口語的で自然な表現になる点です。
3. sans + 不定詞:「〜せずに」
「sans + 不定詞」は「〜せずに」という意味で、行われなかった動作を示します。
英語の without に相当する前置詞 sans に、不定詞を続けることで、文を簡潔かつ否定的に描写できます。
- Il est parti sans dire au revoir.
(彼はさよならを言わずに出発した) - Elle a répondu sans réfléchir.
(彼女は考えずに答えた) - Nous avons commencé sans attendre les autres.
(私たちは他の人を待たずに始めた)
「sans + 不定詞」のニュアンスとしては、「〜しなかった」という意味ではなく、「〜という行動を省略した」または「そのまま行動した」という意味合いになります。
4. avant de + 不定詞:「〜する前に」
avant de は、「〜する前に」という時間的な順序を示すときに使われます。
また、「de」が必要である点に注意が必要です(avant + de + 不定詞)。
- Avant de manger, je me lave les mains.
(食べる前に手を洗う) - Il réfléchit avant de parler.
(話す前に考える) - Avant de sortir, elle a pris un parapluie.
(出かける前に傘を持って行った)
この構文は日常会話でもよく使われます。主語が変わらない場合は、「avant que + 接続法」よりもこの形の方が自然です。
5. afin de + 不定詞:「〜するために」(丁寧表現)
afin de は pour と同様に目的を表しますが、より形式的・丁寧な印象を与える表現です。
書き言葉やビジネス文書に適しています。
- Le gouvernement a lancé une campagne afin de réduire la consommation d’énergie.
(エネルギー消費を減らすために、政府はキャンペーンを開始した) - Nous avons pris des mesures afin de prévenir les accidents.
(事故を防ぐために対策を講じた)
6. au lieu de + 不定詞:「〜する代わりに」
「au lieu de + 不定詞」は「〜する代わりに」という意味の構文です。
あるべき行動とは異なる行動を取っている時に使われます。また、文脈によっては批判的な響きも含みます。
- Tu regardes ton téléphone au lieu de travailler.
(君は仕事をする代わりにスマホを見ている) - Il dort au lieu d’étudier.
(彼は勉強せずに寝ている)
7. まとめ
- 「前置詞 + 不定詞」は、目的・否定・時間・対比などをシンプルに表現できる構文。
- 「pour」「sans」「avant de」は会話でも文章でも頻出。形と意味をセットで覚えると効果的。
- 「avant de」「afin de」「au lieu de」など、一部の前置詞では 「de + 不定詞」 という形になる点に注意。