【フランス語文法#42】前未来の使い方

フランス語の「前未来」は、「未来のある時点までに、何かがすでに完了している」ことを表す時制です。
「〜しているだろう」「〜したことになる」といった訳が当てられ、日本語では少し難解に感じるかもしれませんが、構造自体はシンプルです。
このレッスンでは、前未来の作り方・使い方・注意点を例文とともに具体的に解説します。
1. 前未来とは?
フランス語の「前未来」は、未来のある時点よりも前にすでに起きている・完了している出来事を表現するときに使う時制です。
日本語に訳すと「〜しているだろう」「〜したはずだ」などの意味になり、英語でいえば “will have + 過去分詞”(例:I will have finished)に相当します。
前未来の主な使い方は2つあります。
- 未来のある時点までに何かが完了していることを表す
例:J’aurai fini demain après-midi.
(明日の午後には終わっているだろう) - 推量・予測としての用法
例:Il aura oublié.
(彼は忘れてしまったのだろう)
2. 前未来:avoir / être の単純未来形 + 過去分詞
前未来は、助動詞(avoir または être)の単純未来形 + 過去分詞で構成されます。
主語 | avoir の単純未来形 + 過去分詞 | être の単純未来形 + 過去分詞 |
---|---|---|
je | aurai fini(終えているだろう) | serai allé(e)(行っているだろう) |
tu | auras fini | seras allé(e) |
il / elle / on | aura fini | sera allé(e) |
nous | aurons fini | serons allé(e)s |
vous | aurez fini | serez allé(e)(s) |
ils / elles | auront fini | seront allé(e)s |
3. 前未来のポイント解説
3-1. 「未来の完了」を表す用法
前未来の最も基本的な用法は、「未来のある時点までに、出来事が完了している」ことを表すパターンです。
- Demain à 18 heures, j’aurai terminé ce travail.
(明日の18時にはこの仕事を終えているだろう)
ここで重要なのは、文中に具体的な時間表現(demain, à ce moment-là, etc.)が入ることが多い点です。
「起点」となる未来の出来事よりさらに前の出来事を表すのが、前未来のポイントです。
3-2. 推量(〜したのだろう)
もうひとつの用法は、「たぶん〜したのだろう」という「過去の出来事に対する推測・推量」を述べる表現です。
文法的には未来ですが、意味的には過去への推測となる点がポイントです。
- Il aura perdu son téléphone.
(彼は携帯をなくしたのだろう) - Elle n’a pas répondu. Elle aura été occupée.
(彼女は返事をくれなかった。忙しかったのだろう)
このとき、「aura + 過去分詞」は「きっと〜だったに違いない」と訳され、過去の出来事に対する話し手の主観的な判断が強く含まれます。
3-3. être と過去分詞の一致に注意
前未来は複合過去と同じように、助動詞が必要です。
使用する助動詞は基本的に複合過去と同じルールに従います。
- avoir:大部分の動詞(例:finir, lire, prendre)
- être:移動動詞(aller, venir, partir, arriver など)や代名動詞(se lever, se laver など)
そして、être を使う場合は過去分詞の性・数の一致も必要になります。
- Elle sera allée.(彼女は行っていた/行ったのだろう)
→ 女性単数 → allée - Nous serons partis.(私たちは出発しているだろう)
→ 男性または混合グループ → partis - Elles seront arrivées.(彼女たちは到着しているだろう)
→ 女性複数 → arrivées
4. まとめ
- 前未来は、「未来のある時点よりも前に完了している動作・状態」を表す時制。
- 構造は「助動詞(avoir / être)の単純未来形 + 過去分詞」。
- 主な用法は、未来の完了(明日までには終わっているだろう)と過去の推量(彼は忘れたに違いない)
- être 型の動詞では、過去分詞の性・数の一致が必須。