初中級文法

【初中級文法⑨】代名動詞の4つの用法

image
Izumi

フランス語には、動詞の前に「再帰代名詞(me, te, seなど)」がつく代名動詞という文法があります。

これは「自分自身に対する行為」や「互いに行う行為」を表すほか、「〜される」という受け身や、特定の意味をもつ表現にも使われます。

今回のレッスンでは、代名動詞の用法(再帰的・相互的・受動的・本質的)を整理しながら、それぞれの使い方と特徴を具体的に解説していきます。

代名動詞とは?

代名動詞の基本構造

代名動詞とは、再帰代名詞(me, te, se, nous, vous, se)を動詞の前に置いた構文です。

再帰代名詞は主語と一致し、「自分自身に〜する」「お互いに〜する」「〜される」など、さまざまな意味を表現します。

代名動詞は、辞書では「se + 動詞の原形」という形で記載されます。

  • se laver(自分自身を洗う)
  • se réveiller(目を覚ます)
  • s’appeler(〜と名乗る)

そして、再帰代名詞の 「se」は主語によって次のように変化します。

主語再帰代名詞例(se laver)
jemeje me lave(私は体を洗う)
tutetu te laves(君は体を洗う)
il / elle / onseil se lave(彼は体を洗う)
nousnousnous nous lavons(私たちは体を洗う)
vousvousvous vous lavez(あなたは体を洗う)
ils / ellesseils se lavent(彼らは体を洗う)
ポイント

再帰代名詞は、常に動詞の前に置かれ、主語と一致させる必要があります。

代名動詞と再帰動詞の違い

押さえておきたいのが、「代名動詞」と「再帰動詞」という2つの用語の違いです。

  • 代名動詞は、文法上の分類名であり、動詞の前に再帰代名詞(me, te, se, nous, vous)がついた構造になっている動詞全般を指します。
  • 再帰動詞は、「代名動詞」の中のひとつの用法タイプであり、主語が自分自身に動作を向ける場合をいいます。

つまり、代名動詞は「再帰代名詞 se + 動詞」の形式を取る動詞の総称です。

そして再帰動詞は、代名動詞の用法の1つであり、主語が自分自身に動作を向ける動詞を指します。

例文と解説

Je me lève à sept heures.(私は7時に起きる)

se lever は「自分を起こす」→「起きる」となる再帰動詞。再帰代名詞 me は主語 je に対応し、動詞は活用形 lève (不規則)。再帰動詞は構文上、主語=動作の対象になります。

Tu te brosses les dents.(君は歯を磨く)

se brosser は「自分の〜を磨く」という動作を表します。主語 tu に対応する再帰代名詞 te が付き、「自分の歯を磨く」という意味になります。

Ils se rencontrent au café.(彼らはカフェで会う)

se rencontrer は相互動作。複数主語 ils がお互いに会うため、再帰代名詞 se を用います。動詞は3人称複数形 rencontrent 。この用法では「〜し合う」の意味が含まれます。

La porte se ferme automatiquement.(ドアは自動的に閉まる)

se fermer は受動的用法。ここでは主語は la porte (物)で、ドアが閉まる=閉じられるという意味を自然に表します。動詞は3人称単数形ですが、使役者は明示されません。

Il se souvient de son enfance.(彼は自分の子ども時代を覚えている)

「se souvenir」は本質的用法の代表例。「souvenir 」は単体で使用されることはなく、常に「se」を伴う代名動詞として用いられます。

代名動詞の用法解説

再帰的用法|「自分に〜する」

再起的用法は、最も基本的な用法です。「自分に〜する」という意味となり、主語と動作の対象が一致しているのが特徴です。

主語が自分自身に対して動作を行う場合、再帰代名詞が必要になります。

  • Je me lave.(私は自分の体を洗う)
  • Elle se réveille à 6 heures.(彼女は6時に目覚める)
  • Nous nous habillons rapidement.(私たちは素早く着替える)

英語にすると「myself」「yourself」などが対応します。

ただし日本語訳では「自分を〜」と明示しないことが多く、文法的な再帰を意識して理解する必要があります。

相互的用法|「お互いに〜する」

主語が複数のとき、互いに対して行う動作を表す用法です。英語の「each other」に近い表現です。

  • Ils se regardent.(彼らは見つめ合っている)
  • Nous nous écrivons chaque semaine.(私たちは毎週手紙を送り合う)
  • Elles se parlent au téléphone.(彼女たちは電話で話し合う)

ポイントは、主語が複数形であることと、「〜し合う」という意味合いが生まれることです。

受動的用法|「〜される」

この用法では、代名動詞が実質的に受動態(〜される)の意味になります。

行為者を明示しない状況や、物や状況の変化を表すときに使われます。

  • La porte se ferme toute seule.(ドアはひとりでに閉まる)
  • Le problème se résout facilement.(その問題は簡単に解決される)
  • Ce livre se lit bien.(この本は読みやすい)

ここでは、再帰代名詞が「自分自身を〜する」という意味を持つわけではなく、「〜される」という意味合いが前面に出ます。

特に日常会話やニュース文体で多用される自然な表現です。

ポイント

フランス語では、本来の受動態(être + 過去分詞)を使うよりも、代名動詞を使った方が自然な印象になります。

本質的用法|「常に se が必要な動詞」

この用法の動詞は、常に「se」を伴う形でのみ存在する動詞を指します。

つまり、動詞単体で使う形が存在しないため、もはや再帰性の意味も薄く、構造として定着している慣用動詞といえます。

以下が、本質的用法の代表的な代名動詞です。

  • se souvenir de ~(~を覚えている)
  • se méfier de ~(~を警戒する)
  • s’en aller(立ち去る)
  • se moquer de ~(~をからかう)

「souvenir」や「moquer」のように、「se」のない形では動詞として存在せず、辞書でも常に「se souvenir」「se moquer」として収録されています。

意味の上では再帰的でも受動的でもないため、構文として丸ごと覚える必要があります。

まとめ

  • 代名動詞は「再帰代名詞+動詞」の構造で、文の主語や文脈によって4つの用法に分かれる。
  • 再帰的用法:自分自身に対する行動(例:se laver)
  • 相互的用法:複数主語が互いに行う行動(例:se rencontrer)
  • 受動的用法:自然・自動的な受け身(例:se fermer)
  • 本質的用法:常に se を伴い、非代名形が存在しない(例:se souvenir)

記事URLをコピーしました