初中級文法

【初中級文法④】複合過去の作り方

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Izumi

フランス語で「〜した」「〜に行った」などの完了した過去の出来事を表すのに使うのが、複合過去です。

複合過去は、日常会話からビジネス文書まで幅広く使われる基本時制であり、動詞の活用や文の構造を正しく理解することがとても大切です。

このレッスンでは、複合過去の構成ルール、過去分詞の作り方、使い方のパターンを体系的に学び、基礎的な文を正確に組み立てられるようになることを目指します。

複合過去とは?

複合過去は、「すでに終わった動作や出来事」を表すフランス語の過去時制の1つです。

英語で言う「I ate, I went」、あるいは「食べた」「終えた」「行った」などの日本語の完了動作に近い役割を持ち、日常会話で最もよく使われる過去形です。

【複合過去】主語 + 助動詞(avoir または être の現在形)+ 過去分詞

たとえば、動詞「manger(食べる)」を使った場合、複合過去は以下のようになります。

  • J’ai mangé une pomme.(私はリンゴを食べた)
    → 助動詞:ai(avoir の1人称単数形)+ 過去分詞:mangé

基本的には avoir を助動詞として使う動詞が多いですが、一部の動詞(主に「移動」や「状態の変化」を表す動詞)はêtreを使います。

例文と解説

J’ai mangé une pomme.|私はリンゴを食べた。

主語 je に対して、助動詞 avoir の1人称単数形 ai を使い、動詞 manger の過去分詞「mangé」を組み合わせた形。助動詞と過去分詞が連動して「完了した動作(食べた)」を表現します。なお、過去分詞 mangé は「-er 動詞」の定型どおり「-é」で終わります。

Tu as regardé un film.|君は映画を観た。

主語 tu に合わせて助動詞は as (avoir の2人称単数)。動詞 regarder は第1群規則動詞で、過去分詞 regardé を使用。動詞の時制(現在 or 過去)を決定づけているのは助動詞の活用形であり、過去分詞は形を変えないのがポイント。

Il a fini ses devoirs.|彼は宿題を終えた。

finir は第2群規則動詞(-ir動詞)で、過去分詞は fini。主語 il に合わせて助動詞 a を使用。3人称単数の場合、助動詞 a と正しい過去分詞の選択ができるかがポイント。完了した行為である「宿題を終える」ことを的確に表しています。

Nous avons attendu le bus.|私たちはバスを待った。

attendre は第3群不規則動詞(-re動詞)で、過去分詞は attendu。助動詞は avons (avoir の1人称複数形)を使用。1群・2群と語尾の変化が異なるため、第3群不規則動詞は個別に過去分詞を覚える必要があります。

Vous avez étudié le français.|あなたたちはフランス語を勉強した。

主語 vous に対応する助動詞 avez に、第1群規則動詞 étudier の過去分詞 étudié を組み合わせた形。vous は「あなた」または「あなたたち」の両方に使えますが、助動詞の形はどちらの場合でも同じ。主語が複数でも構造に変化はないのが複合過去の特徴。

文法のポイント解説

過去分詞の役割と助動詞との関係

複合過去は、助動詞が文法的な骨組みを作り、過去分詞が動作の意味を担うという明確な役割分担があります。

たとえば、「J’ai parlé.」を例にみていくと、助動詞 ai は文法的な時制・人称を示し、過去分詞 parlé は「話す」という行為そのものを示しています。

このように、助動詞が現在形であるにもかかわらず、全体の意味は「過去の完了」を表すのがポイントです。

つまり、助動詞の形が動詞の時制を決定する鍵になります。

過去分詞の作り方

フランス語の動詞を複合過去で使うためには、過去分詞の形を正しく作る必要があります。

規則動詞の場合、動詞の不定形(=原形)から語尾を一定のルールに従って置き換えることで過去分詞を作ることができます。

グループ動詞の語尾(原形)過去分詞の語尾作り方のルール
第1群動詞-er-er を取り除いて -é をつける
第2群動詞-ir-i-ir を取り除いて -i をつける
第3群動詞-re-u-re を取り除いて -u をつける
(不規則が多いため注意)

不規則動詞(avoir, être, faire, voir など)はそれぞれの形を個別に覚える必要があります。最初は頻出動詞から順に覚えましょう。

助動詞は「avoir」?「être」?

複合過去では、動詞の前に置かれる助動詞として、主に次の2つのいずれかを使います。

  • avoir(〜を持つ)
  • être(〜である)

ほとんどのフランス語の動詞は avoir を使って複合過去を作ります。

ただし、一定の条件に当てはまる動詞は être を使います。

【助動詞êtreを使う動詞①】「移動」や「状態の変化」を表す動詞

これは主に人の位置・状態が変わる動作を意味する動詞で、以下のようなものがあります。

  • aller(行く)|過去分詞 allé
  • venir(来る)|過去分詞 venu
  • arriver(到着する)|過去分詞 arrivé
  • partir(出発する)|過去分詞 parti
ポイント

移動・誕生・死・到着・出発といった、往来発着・状態変化に関わる動詞は「être」を使うと覚えましょう。

【助動詞êtreを使う動詞②】再帰動詞(se〜)

再帰動詞も必ず être を使います。

これは主語が自分自身に対して動作を行う動詞で、「se〜」の形を取ります。

  • se lever(起きる)
  • se laver(洗う)
  • s’amuser(楽しむ)
être|過去分詞を主語の性・数に一致させる

注意点として、複合過去でêtre を使う場合、主語の性と数に応じて過去分詞を一致させる必要があります

  • Il est allé.(彼は行った)→ Il(彼)は男性・単数なので allé のまま。
  • Elle est allée.(彼女は行った)→ Elle(彼女)は女性・単数なので -e を追加。
  • Ils sont allés.(彼らは行った)→ Ils(彼ら)は男性・複数なので -s を追加。
  • Elles sont allées.(彼女たちは行った)→ Elles(彼女たち)は女性・複数なので -es を追加。

否定文は助動詞の位置が重要

複合過去の否定文では、ne … pas が助動詞を挟む形になります。

【否定文】ne + 助動詞 + pas + 過去分詞

  • Je n’ai pas mangé.(私は食べなかった)
    → 「ne」は助動詞 ai の前、pas はその後に置かれ、過去分詞 mangé はその後におかれます。

また、口語では「ne」が省略されることが珍しくありません。

  • J’ai pas mangé.
    →「ne」が省略され、「pas」のみで否定文を構成。

neの省略はカジュアルな会話での表現なので、正式な文章や丁寧な会話では使わないようにしましょう。

疑問文の作り方は2通り

複合過去の疑問文には、以下の2つの方法があります。

  1. Est-ce que + 主語 + 助動詞 + 過去分詞
  2. 倒置疑問文

複合過去の疑問文では、「Est-ce que + 主語 + 助動詞 + 過去分詞」の形が一般的です。

  • Est-ce que tu as mangé ?(君は食べた?)
    → 最も一般的で丁寧。初心者にとっても作りやすい形です。

一方、助動詞と主語の位置を入れ替える倒置疑問文は、よりフォーマルな表現や書き言葉で使われます。

  • As-tu mangé ?(君は食べた?)
    → 助動詞「as」と主語「tu」を倒置することで疑問文に。
注意点

主語が人名や名詞のとき、そのまま倒置にはできません。名詞を文頭に残し、そのあとに対応する代名詞を使って倒置を行う必要があります。

つまり、「名詞 + 動詞-代名詞」の順番になります。

  • Marie a-t-elle regardé un film ?(マリーは映画を観ましたか?)
    →名詞「Marie」は女性・3人称単数なので、対応する代名詞は「elle」。動詞 a(avoir の3人称単数)+elle で倒置。

さらに、例文の「a-t-elle」のように、動詞が母音で終わり、代名詞も母音で始まる場合、母音の衝突を避けるために「-t-」を挿入します。

まとめ

  • 複合過去は「助動詞(avoir/être)+過去分詞」で構成される
  • 過去分詞の形は動詞のグループ(-er, -ir, -re)によって変わる。
  • 否定文や疑問文では、助動詞の位置に注意しよう。
  • être を使う複合過去は、過去分詞の性・数の一致が必要になる

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