【フランス語文法#25】複合過去の作り方

フランス語で「〜した」「〜に行った」などの完了した過去の出来事を表すのに使うのが、複合過去です。
複合過去は、日常会話からビジネス文書まで幅広く使われる基本時制であり、動詞の活用や文の構造を正しく理解することがとても大切です。
ここでは複合過去の構成ルール、過去分詞の作り方、使い方のパターンを解説していきます。
1. 複合過去とは?
複合過去は、「すでに終わった過去の動作や出来事」を表すフランス語の過去時制の1つです。
英語で言う「I ate, I went」、あるいは「食べた」「終えた」「行った」などの日本語の完了動作に近い役割を持ち、日常会話で最もよく使われる過去形です。
そして複合過去の構造は、「主語 + 助動詞(avoir/être の現在形)+ 過去分詞」となります。
- J’ai mangé une pomme.(私はリンゴを食べた)
→ 助動詞 ai(avoir の1人称単数形)+ 過去分詞 mangé
基本的には avoir を助動詞として使う動詞が多いです。しかし、一部の動詞(主に「移動」や「状態の変化」を表す動詞)はêtreを使います。
2. 過去分詞の役割と助動詞との関係
複合過去は、助動詞が文法的な骨組みを作り、過去分詞が動作の意味を担うという明確な役割分担があります。
たとえば、“J’ai parlé.” を例に見ていくと、助動詞 ai は文法的な時制・人称を示し、過去分詞 parlé は「話す」という行為そのものを示しています。
このように、助動詞が現在形であるにもかかわらず、全体の意味は「過去の完了」を表すのがポイントです。
つまり、助動詞の形が動詞の時制を決定する鍵になります。
3. 過去分詞の作り方
フランス語の動詞を複合過去で使うためには、過去分詞の形を正しく作る必要があります。
規則動詞の場合、動詞の不定形(=原形)から語尾を一定のルールに従って置き換えることで過去分詞を作ることができます。
グループ | 動詞の語尾(原形) | 過去分詞の語尾 | 作り方のルール |
---|---|---|---|
第1群動詞 | -er | -é | -er を取り除いて -é をつける |
第2群動詞 | -ir | -i | -ir を取り除いて -i をつける |
第3群動詞 | -re | -u | -re を取り除いて -u をつける (不規則が多いため注意) |
不規則動詞(avoir, être, faire, voir など)はそれぞれの形を個別に覚える必要があります。最初は頻出動詞から順に覚えましょう。
4. 助動詞 avoir / être の使い分け
複合過去では、動詞の前に置かれる助動詞として、次の2つのいずれかを使います。
- avoir(〜を持つ)
- être(〜である)
ほとんどのフランス語の動詞は avoir を使って複合過去を作ります。
ただし、一定の条件に当てはまる動詞は être を使います。
4-1: 【êtreを使う動詞①】「移動」や「状態の変化」を表す動詞
これは主に人の位置・状態が変わる動作を意味する動詞で、以下のようなものがあります。
- aller(行く)|過去分詞 allé
- venir(来る)|過去分詞 venu
- arriver(到着する)|過去分詞 arrivé
- partir(出発する)|過去分詞 parti
移動・誕生・死・到着・出発といった、往来発着・状態変化に関わる動詞は être を使います。
4-2. 【êtreを使う動詞②】再帰動詞(se + 動詞)
再帰動詞も必ず être を使います。再帰動詞とは主語が自分自身に対して動作を行う動詞のことで、「再帰代名詞 se + 動詞」の形を取ります。
- se lever(起きる)
- se laver(洗う)
- s’amuser(楽しむ)
4-3. être → 過去分詞を主語の性・数に一致させる
注意点として、複合過去でêtre を使う場合、主語の性と数に応じて過去分詞を一致させる必要があります
- Il est allé.(彼は行った)
→ Il(彼)は男性・単数なので allé のまま。 - Elle est allée.(彼女は行った)
→ Elle(彼女)は女性・単数なので -e を追加。 - Ils sont allés.(彼らは行った)
→ Ils(彼ら)は男性・複数なので -s を追加。 - Elles sont allées.(彼女たちは行った)
→ Elles(彼女たち)は女性・複数なので -es を追加。
5. 否定文は助動詞の位置が重要
複合過去の否定文は「ne + 助動詞 + pas + 過去分詞」と、「ne … pas」が助動詞を挟む形になります。
- Je n’ai pas mangé.(私は食べなかった)
→ 「ne」は助動詞 ai の前、pas はその後に置かれ、過去分詞 mangé はその後に置きます。
また、口語では「ne」が省略されることがよくあります。
- J’ai pas mangé.
→「ne」が省略され、「pas」のみで否定文を構成。
neの省略はカジュアルな会話での表現なので、正式な文章や丁寧な会話では使わないようにしましょう。
6. 複合過去の疑問文
6-1. 疑問文の作り方は2通り
複合過去の疑問文には、以下の2つの方法があります。
- 【通常】Est-ce que + 主語 + 助動詞 + 過去分詞
- 【倒置疑問文】助動詞 – 主語 + 過去分詞
複合過去の疑問文では、「Est-ce que + 主語 + 助動詞 + 過去分詞」の形が一般的です。
- Est-ce que tu as mangé ?(君は食べた?)
→ 最も一般的で丁寧。初心者にとっても作りやすい形です。
一方、助動詞と主語の位置を入れ替える倒置疑問文は、よりフォーマルな表現や書き言葉で使われます。
- As-tu mangé ?(君は食べた?)
→ 助動詞 as と主語 tu を倒置することで疑問文に。
6-2. 倒置疑問文の注意点
主語が人名や名詞のとき、そのまま倒置にはできません。
名詞を文頭に残し、そのあとに対応する代名詞を使って倒置を行う必要があります。
つまり、「名詞 + 助動詞 – 代名詞」の順番になります。
- Marie a-t-elle regardé un film ?(マリーは映画を観ましたか?)
→名詞 Marie は女性・3人称単数なので、対応する代名詞はelle 。動詞 a(avoir の3人称単数)+ elle で倒置。
さらに、例文の「a-t-elle」のように、動詞が母音で終わり、代名詞も母音で始まる場合、母音の衝突を避けるために、助動詞と代名詞の間に「-t-」を挿入します。
7. まとめ
- 複合過去は「助動詞(avoir/être)+過去分詞」で構成される。
- 過去分詞の形は動詞のグループ(-er, -ir, -re)によって変わる。
- 否定文や疑問文では、助動詞の位置に注意しよう。
- être を使う複合過去は、過去分詞の性・数の一致が必要になる。