初級文法

Lesson 09|第1群規則動詞の現在形(-er動詞)

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Aoba

フランス語の動詞は、英語とは異なり「活用」が必要不可欠です。その中でも最も基本となるのが、-er動詞と呼ばれる第1群規則動詞です。

このレッスンでは、第1群規則動詞の現在形の活用ルールを学び、正しい文の組み立て方を習得することを目指します。

規則的な活用パターンを理解することで、語彙を増やしながら自信を持って文を作れるようになります。

第1群規則動詞とは?

フランス語の動詞には3つのグループがありますが、第1群規則動詞はその中で最も数が多く、不定形(原形)が-erで終わる動詞がこれに該当します。

一定のルールに従って活用するため、初学者にとって最も取り組みやすい動詞群です。

第1群規則動詞の特徴
  • 不定形(原形)が -er で終わる。
  • 規則的な活用パターンを持つ。
  • 学習の初期段階で最もよく使う動詞群。

活用ルール

1群動詞の現在形は、動詞の語幹に主語に応じた語尾を付けることで作ります。作り方は次の通りです。

主語語尾
je-e
tu-es
il/elle/on-e
nous-ons
vous-ez
ils/elles-ent
注意点
  • ils/elles形の- ent は発音しない:je parle と ils parlent の発音は同じ。
  • 語幹に変化はない:すべての主語で同じ語幹が使われる。
  • 母音の都合でnous形の発音が難しい動詞もあるが、基本パターンはこのルールに従う。

文法のポイント解説

例文と表解説

フランス語の文日本語訳解説
Je parle français.私はフランス語を話す。parler(話す):parl- + e
Tu regardes la télévision.君はテレビを見る。regarder(見る):regard- + es
Il aime les livres.彼は本が好きだ。aimer(好む):aim- + e
Nous habitons à Paris.私たちはパリに住んでいる。habiter(住む):habit- + ons
Vous écoutez de la musique.あなたたちは音楽を聴く。écouter(聞く):écout- + ez
Elles jouent au tennis.彼女たちはテニスをする。jouer(遊ぶ/する):jou- + ent

第1群規則動詞の活用はフランス語学習の土台

第1群規則動詞の現在形は、フランス語学習の最初の関門です。

動詞の活用は、主語に応じて形を変えなければならないため、英語よりも覚える項目が多いです。

しかし、第1群規則動詞に限って言えば規則的なパターンに従うため、慣れればスムーズに使いこなせます。

学習のポイント

英語の三単現(He speaks, She works)に似て、主語によって動詞の形が変わるという感覚を身につけましょう。

活用の基本パターンをマスターする

第1群規則動詞は、動詞の原形(不定形)から -er を除いた語幹に、主語ごとの語尾を付けるだけで活用できます。

規則性が高いため、1つの動詞のパターンを覚えれば、多くの動詞に応用可能です。

語幹+語尾のセットを覚えよう
  • je + parl + e → je parle
  • tu + parl + es → tu parles
  • nous + parl + ons → nous parlons

ils/elles形の発音に注意

フランス語の第1群規則動詞では、主語がils(彼ら)/elles(彼女たち)のとき、動詞の活用語尾に-entが付きます。

しかし、-entは書かれていても発音しないという特徴があります。

以下の表のように、je aime(私は好む)とils aiment(彼らは好む)は、書き方は違っても発音はまったく同じになります。

主語活用形発音
jeaime[ɛm](エム)
tuaimes[ɛm](エム)
il/elle/onaime[ɛm](エム)
nousaimons[ɛmɔ̃](エモン)
vousaimez[eme](エメ)
ils/ellesaiment[ɛm](エム)

そのため、フランス語では動詞の活用形だけでは主語を聞き分けることができない場面が出てきます。

特に第1群規則動詞のように活用が規則的な場合、主語が省略できないのはこの理由です。

日本語や英語では、文脈や動詞の形から主語を推測できることがありますが、フランス語では主語の省略は基本的に認められません。

  • Ils aiment le chocolat.(彼らはチョコレートが好きです)
  • Elle aime le chocolat.(彼女はチョコレートが好きです)

→ aimeaimentは発音が同じなので、主語がなければ誰について話しているのかわからなくなります。

-ger動詞、-cer動詞の特別な綴り変化

第1群規則動詞の中には、活用の際に綴りを微調整する動詞が存在します。代表例が、-ger動詞-cer動詞です。

これらの動詞は、特に nous(私たち)形でスペリングが変わりますが、これは発音を守るための変化で、文法的な意味や活用の規則性には影響しません。

-ger動詞|manger(食べる)の場合

manger(食べる)は語幹mang-に、主語に応じた語尾を付けて活用します。ただし、nous形(私たちは〜)だけは少し違います。

主語活用形備考
jemange通常の形
tumanges通常の形
il/elle/onmange通常の形
nousmangeonseを挿入
vousmangez通常の形
ils/ellesmangent通常の形

なぜ e が入るの?

フランス語ではgのあとにa, o, uが続くと、[g](ガ行の音)になります。

しかし、eを挟むとgは[ʒ](「ge : ジュ」に近い柔らかい音)で発音されます。

つまり、gの柔らかい発音 [ʒ] を保つため、あえて e を挿入するわけです。

  • mangeons:[mɑ̃ʒɔ̃](マンジョン)→ 正しい音
  • mangons:[mɑ̃gɔ̃](マンゴン)→ 発音が変わってしまう(NG)

-cer動詞|commencer(始める)の場合

次に、-cer動詞についても見ていきましょう。

commencer(始める)は語幹commenc-に語尾を付けますが、こちらもnous形で特別な綴りが必要です。

主語活用形備考
jecommence通常の形
tucommences通常の形
il/elle/oncommence通常の形
nouscommençonsçに変化
vouscommencez通常の形
ils/ellescommencent通常の形

なぜ ç(セディーユ)が必要か

フランス語では、cのあとにa, o, uが来ると、[k](カ行の音)で発音されます。

しかし、cにセディーユ(ç)をつけると、常に [s](サ行の音)になります。つまり-ger動詞と同様に、こちらも発音を[s]に保つためçが必要になるのです。

  • commençons:[kɔmɑ̃sɔ̃](コモンソン)→ 正しい音
  • commencons:[kɔmɑ̃kɔ̃](コモンコン)→ 発音が違う(NG)
ポイント

-ger動詞、-cer動詞ではフランス語の柔らかな発音を維持するために、nous形でそれぞれ e と ç をつけて発音を調整します。

まとめ

  • 第1群規則動詞(-er動詞*は、フランス語で最も基本的な動詞グループ。
  • 不定形から -er を取り除き、主語に応じて -e, -es, -e, -ons, -ez, -ent を付けて活用する。
  • ils/elles形の -ent は発音しないため、注意が必要。
  • -ger動詞、-cer動詞には特殊な活用があるが、基本ルールは同じ。
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