フランス語には、接続法という特別な動詞の活用があります。これは事実の叙述ではなく、話し手の感情・判断・不確実性・目的などを表すときに使われます。
接続法は単に動詞の意味だけで決まるのではなく、特定の接続詞によっても使用が求められます。
今回は、フランス語で接続法を要求する代表的な接続詞とその使い方、注意点を解説します。
1. 接続法と接続詞の関係
フランス語の接続法は、「確実な事実」を述べるのではなく、話し手の感情・評価・意図・条件・不確実性を表すときに使われます。
接続詞は主節と従属節をつなぎ、意味関係を作る働きがあります。
そして接続詞の後に続く従属節が、「事実」ではなく「条件・目的・不確実な出来事」を表す場合、従属節の動詞は接続法現在/過去の形となります。
- Je pars avant qu’il n’arrive.
(彼が来る前に出発する)
→ 「彼が来る」という出来事はまだ起こっていない=不確定 → 接続法
2. 接続法を要求する代表的な接続詞
以下は接続法がほぼ必須となる接続詞です。
2-1. 目的を表す接続詞
目的を示す接続詞は、「〜するために」「〜しないように」という意図を持つため、まだ実現していない行為を表し、接続法が使われます。
- pour que(〜するために)
- afin que(〜するために/〜できるように)
- de peur que(〜しないように)
例文
- Je parle lentement pour que tu comprennes.
(君が理解できるように、私はゆっくり話す) - Elle se dépêche afin qu’elle soit à l’heure.
(彼女が時間通りになるよう急いでいる)
2-2. 条件・仮定を表す接続詞
条件を示す接続詞は、特定の条件下でのみ成立する行為を表すため、接続法が使われます。
- à condition que(〜という条件で)
- pourvu que(〜さえすれば)
- à moins que(〜しない限り)
例文
- Nous partirons à condition qu’il fasse beau.
(天気が良ければ出発する) - Tu peux venir pourvu que tu sois à l’heure.
(時間通りなら来ていいよ)
2-3. 譲歩・制限を表す接続詞
譲歩を表す接続詞は、「〜にもかかわらず」というニュアンスを持つため、事実ではあるが話し手の評価や条件が加わる形になります。
- bien que(〜にもかかわらず)
- quoique(〜にもかかわらず)
- encore que(〜とはいえ、もっとも〜だが)
例文
- Bien qu’il soit fatigué, il continue à travailler.
(疲れているにもかかわらず、彼は働き続ける)
2-4. 時間・期限を表す接続詞
未来や未確定の出来事を表すときに、時間関連の接続詞が接続法を要求します。
- avant que(〜する前に)
- jusqu’à ce que(〜するまで)
例文
- Ferme la fenêtre avant qu’il n’entre.
(彼が入ってくる前に窓を閉めなさい) - Attends ici jusqu’à ce que je revienne.
(私が戻るまでここで待っていて)
3. 接続詞の後が接続法になる理由
接続法は「不確定・主観的評価・未実現の行為」を表します。
接続詞の意味によっては、その従属節はまだ確定していない、あるいは話し手の意図を反映するため、直説法ではなく接続法が必要になります。
- 事実(直説法)
例:Je sais qu’il est là.(彼がそこにいることを知っている) - 不確定/意図(接続法)
例:J’attends qu’il vienne.(彼が来るのを待っている)
4. 主語が同じ場合は不定詞を使う
接続法を要求する接続詞であっても、主節と従属節の主語が同じ場合は、接続法を使わずに不定詞で表すことができます。
- 主語が異なる場合:接続法
例:Je ferme la porte pour que les enfants ne sortent pas.
(子どもたちが外に出ないように、ドアを閉めます) - 主語が同じ場合:不定詞
例:Je ferme la porte pour ne pas sortir.
(私は外に出ないようにドアを閉めます)
このルールを理解しておくと、無駄な接続法活用を避け、より簡潔な表現が可能になります。
5. まとめ
- 接続法を要求する接続詞は、従属節の動詞を接続法の形にします。
- 多くは目的・条件・譲歩・時間などの意味を持ち、不確定な未来や話し手の意図・感情を表します。
- 主節と従属節で主語が同じ場合は、接続法ではなく不定詞が使います。
- 接続法は形だけでなく、使う意味の背景(確定か不確定か)を理解しておくことが重要です。
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