接続法過去は接続法の一種で、過去の出来事に対する主観的な評価や感情、必要性、可能性などを表すときに使われます。
接続法現在の時制が「同時性や未来」を表すのに対し、接続法過去は「主節よりも前に起きた出来事」を表すのが特徴です。
このレッスンでは接続法過去の構造、使い方、注意点を詳しく解説します。
1. 接続法過去の基本
1-1. 接続法過去とは?
接続法過去は、フランス語の接続法の中で過去を表す時制です。
主節が接続法を要求し、かつ従属節の出来事が主節よりも前に起こった場合に用います。
- 接続法現在:主節と同時、または主節より後に起きる可能性のある出来事を表す。
- 接続法過去:主節の時点よりも前に完了している出来事を表す。
1-2. 接続法過去の構造
接続法過去は、「接続法現在の助動詞(avoir / être)+ 過去分詞」で構成される複合時制です。
avoir を使う場合(大多数の動詞)
- que j’aie parlé(私が話したこと)
- que tu aies fini(君が終えたこと)
être を使う場合(移動・状態変化の動詞, 代名動詞)
- que je sois allé(e)(私が行ったこと)
- que nous soyons venus(私たちが来たこと)
être を使う場合は、主語の性・数に一致させます。
2. 接続法過去を使う場面
2-1. 過去の出来事の評価・感想を述べる
- Je suis heureux que tu aies réussi ton examen.
(君が試験に合格したことをうれしく思う)
「うれしい(heureux)」という感情が主節にあり、その対象である「合格したこと(aies réussi)」は過去の出来事です。
2-2. 過去に起きた可能性・推量を述べる
- C’est possible qu’il ait oublié notre rendez-vous.
(彼が私たちの約束を忘れた可能性がある)
約束を忘れたのは既に過去の出来事であり、現在でその可能性を述べています。
2-3. 過去の出来事に対する懸念・恐れを表す
- Je crains qu’elle ne soit partie sans dire au revoir.
(彼女がさよならを言わずに出て行ったのではないかと心配だ)
助動詞 être を使う動詞 partir の例。出発はすでに起きている出来事で、それに対し懸念を表しています。
3. 接続法過去と接続法現在の使い分け
接続法現在は、主節と同時またはそれ以降の出来事に使います。
- Je suis content que tu réussisses ton examen.
(君が試験に合格することをうれしく思う)
「これから試験に合格する/合格する見込みがある」と、主節と同時期もしくは未来の出来事を表しているので、接続法現在を使用します。
一方、接続法過去は、従属節の出来事がすでに完了している場合に使います。
- Je suis content que tu aies réussi ton examen.
(君が試験に合格したことをうれしく思う)
「すでに合格している事実」に対して喜んでいるので、接続法過去で表します。
つまり、接続法現在と接続法過去は、出来事の時間軸で使い分けるのがポイントです。
4. まとめ
- 接続法過去は「接続法が必要な文脈」+「従属節が主節の時点より前に完了している」場合に使う。
- 接続法過去の構造は、接続法現在の助動詞(avoir / être)+ 過去分詞。
- 助動詞 être の場合は性・数の一致が必要。
- 接続法現在は未来や同時性、接続法過去は完了済みの出来事を表す。