#21 フランス語のヴェルランとは?|フランス語コラム

フランスでは、日常会話の中で単語の音を組み替えた独特の表現が使われることがあります。例えば、femme(女性)が meuf に、fou(すごい・正気でない)が ouf に変化します。
こうした表現は単なる発音の崩れではなく、「ヴェルラン」と呼ばれるフランス語のスラングです。
ヴェルランは若者同士の会話や音楽、映画、SNSなどで使われることが多く、フランス語の話し言葉を理解するうえで無視できない存在です。一方で、標準的なフランス語とは形が大きく異なるため、学習者にとっては意味を推測しにくい表現でもあります。
この記事では、ヴェルランがどのように作られるのか、その歴史や使われ方、代表的な表現について紹介します。
ヴェルランの特徴
ヴェルランは、単語を構成する音のまとまりを入れ替え、必要に応じて音を変化させたり省略したりして作られるフランス語のスラングです。
もともとは仲間同士で用いられる言葉遊びや隠語として発達しましたが、現在では映画や音楽、SNSなどを通じて広く知られるようになり、日常会話でも耳にする機会があります。
名前の Verlan 自体も、フランス語の l’envers(逆さま)という表現の音を入れ替えて作られています。
以下の例のように、ヴェルランでは元の単語とは大きく異なる形になることがあります。
- femme(女性)→ meuf
- bizarre(変な)→ zarbi
- fou(すごい・正気でない)→ ouf
ヴェルランを使うことで、仲間意識を表したり、会話に遊び心を加えたりできます。そのため、ヴェルランは単なるスラングというだけでなく、フランスの若者文化や都市文化を象徴する言葉の一つとしても知られています。
よく使われるヴェルラン
ヴェルランには数多くの表現がありますが、特によく知られているものには次のような例があります。
| 通常の単語 | ヴェルラン | 意味 |
|---|---|---|
| femme | meuf | 女性 |
| mec | keum | 男性 |
| bizarre | zarbi | 変な |
| français | céfran | フランス人・フランス語 |
| fou | ouf | 狂った・すごい |
ヴェルランはフランスの日常会話で使われており、特に若い世代のくだけた会話では自然に取り入れられることがあります。映画やYouTube、SNSなどでも、こうした表現を目にする機会は少なくありません。
一方で、すべてのヴェルランが同じ頻度で使われているわけではありません。流行や世代、地域によって、よく使われる表現は変化します。また、公的な文書やビジネスの場では、基本的に使用されません。
ヴェルランはどのように作られるのか
ヴェルランの作り方としては、単純にアルファベットを逆から並べるのではなく、基本的に単語を構成する音のまとまりを入れ替えることで作られます。
例えば、français の発音を構成する二つの音のまとまりを入れ替えると、céfran という形になります。
ただし、音の響きを自然にするために母音や子音が変化したり、一部の音が省略されたりすることもあります。そのため、すべてのヴェルランを一つの規則だけで作れるわけではありません。
さらに、ヴェルランは話し言葉の中で自然に広まってきた表現であるため、時代や地域、世代によって使われる単語が異なることもあります。
そのため文法規則のように作り方を暗記するというよりも、映画やドラマ、音楽などを通して、実際によく使われる表現を少しずつ覚えていくのがおすすめです。
なぜヴェルランが生まれたのか
ヴェルランは20世紀後半から若者を中心に広まりました。仲間同士だけで通じる言葉として、特にパリ近郊の郊外に暮らす若者たちの間で広く使われるようになりました。
当初は大人や権威から距離を置いたり、自分たちの仲間意識を表現したりするための隠語としての役割も果たしていました。
その後、都市部の若者文化や移民といった多様な文化的背景を持つ人々の交流の中で広まり、1980年代以降は音楽や映画、テレビなどを通じて広く知られるようになりました。
現在では若者だけでなく幅広い世代に知られる表現も多く、一部のヴェルランは日常会話の中でごく自然に使われています。
つまり、ヴェルランはフランス社会の多様な文化や若者たちの創造性の中から生まれた、現代のフランス語を象徴する言語文化の一つなのです。
ヴェルランを知るとフランス語がもっと面白くなる
ヴェルランはフランス語学習の必須項目ではありません。特に初学者のうちは、まず標準的なフランス語を身につけることが大切です。
しかし、ある程度学習が進むと、映画やドラマ、音楽、YouTube、SNSなどでヴェルランを耳にする機会が増えてきます。「これはヴェルランだ」と気付けるようになると、知らない単語に出会っても、その成り立ちを考える手掛かりになります。
また、フランスの若者文化や流行、ユーモアの感覚にも触れられるため、教科書では学べない生きたフランス語を知るきっかけにもなります。
もちろん、ヴェルランは場面を選ぶ表現です。友人同士の会話ではよく使われますが、ビジネスや公的な場面では標準的なフランス語を使うのが基本です。
そのため、積極的に使いこなそうとするよりも、「聞いたときに理解できる」ことを目標に学ぶのがおすすめです。
まとめ
ヴェルランは、フランス語の単語や音節を入れ替えて作られる独特のスラングです。
主な特徴をまとめると、次のようになります。
- 単語の音節を入れ替えて作られるフランス独特のスラングである。
- Verlan という名前自体も l’envers(逆さま)に由来している。
- 20世紀に若者文化の中で広まった。
- 現在でも映画や音楽、日常会話などで使われている。
- meuf、ouf など、一般的になった表現も多い。
- フランスの若者文化や現代の話し言葉を理解するうえで役立つ。
ヴェルランは、フランス語の柔軟さや遊び心を感じられる言語文化の一つです。
教科書ではあまり学ぶ機会はありませんが、その存在を知っておくことで、映画やドラマ、音楽などをより楽しめるようになります。




